日本でファイナンシャルプランナーが広まらない本当の理由。そして、その解決策とは?
「将来のお金が不安です。」
そう感じる人は年々増えています。
老後資金、教育費、住宅ローン、保険、投資、物価高……。
これだけお金に関する悩みが増えているにもかかわらず、日本ではファイナンシャルプランナー(FP)が医師や税理士のような身近な存在になっているとは言えません。
なぜなのでしょうか。
前回の記事では、その理由についてお話ししました。
今回は、その課題をどうすれば解決できるのかを考えてみたいと思います。
解決すべきなのは「FPの認知度」ではない
「もっとFPを知ってもらえばいい。」
そう考える人もいるかもしれません。
しかし、本当に必要なのはそこではありません。
必要なのは、
「FPを広めること」ではなく、「お金を相談する文化」をつくること。
これが最も重要なポイントです。
病気になれば病院へ行く。
法律で困れば弁護士に相談する。
税金で困れば税理士に相談する。
では、お金の不安を感じたとき、私たちは誰に相談するでしょうか。
実は、多くの人が答えられません。
ここに、日本のお金の相談が抱える本質的な課題があります。
解決策① 「FP」ではなく「お金の病院」という考え方
「ファイナンシャルプランナー」という言葉から、どんな仕事を思い浮かべますか。
保険を売る人。
投資を勧める人。
そんなイメージを持つ人も少なくありません。
一方で、「お金の病院」と聞いたらどうでしょう。
多くの人は自然に役割を想像できます。
まず診断する。
原因を見つける。
改善方法を考える。
必要なら専門家を紹介する。
これは病院と同じ流れです。
つまり、商品を売ることではなく、お金の健康状態を診断することが目的になります。
解決策② 商品販売と相談を分ける
医師が診察するとき、
「この薬を売れば私の収入が増える」
ということを患者は気にしません。
だから安心して相談できます。
ところがお金の相談では、
「この保険を勧めるのは手数料が入るからでは?」
「投資を勧める理由は販売目的では?」
と疑われることがあります。
もちろん、誠実に活動している専門家はたくさんいます。
しかし、相談と販売が一体化している限り、この疑問はなくなりません。
だからこそ、相談そのものに価値を置き、販売とは切り離す仕組みが必要なのです。
解決策③ 「お金の健康診断」を当たり前にする
私たちは病気になる前に健康診断を受けます。
では、お金はどうでしょう。
多くの人は問題が大きくなってから相談します。
・貯金がなくなった。
・住宅ローンの返済が苦しい。
・老後資金が足りない。
・教育費が払えない。
これでは、病気が重くなってから病院へ行くのと同じです。
本来なら、
就職。
結婚。
出産。
住宅購入。
転職。
独立。
定年。
こうした人生の節目ごとに、お金の健康診断を受ける文化があっても良いはずです。
解決策④ AIがお金の「問診」を担当する
最近ではAIの進化によって、お金の相談も大きく変わろうとしています。
例えば、
「最近お金が貯まりません。」
という相談があったとします。
AIは質問を重ねながら、
・収入
・支出
・保険
・住宅ローン
・資産
・投資
・家族構成
などを整理し、問題の原因を分析できます。
その結果、
「保険ではなく固定費の見直しが必要です。」
「投資を始める前に生活防衛資金を準備しましょう。」
といった一次診断を行い、その後、人間の専門家がより具体的なアドバイスを行います。
これは病院でいう「問診」の役割です。
AIと専門家が協力することで、より多くの人が気軽に相談できる時代が近づいています。
解決策⑤ 人生全体を設計する場所へ
現在の金融サービスは、
保険は保険会社。
住宅ローンは銀行。
投資は証券会社。
相続は税理士。
それぞれ別々です。
しかし、人生はすべてがつながっています。
保険だけを考えても意味はありません。
投資だけを考えても意味はありません。
家計、住宅、教育費、老後、相続。
これらを一つの人生設計として考えることが、本当に必要なお金の相談ではないでしょうか。
「お金の病院」が目指すもの
もし「お金の病院」があれば、次のような流れになります。
まず、お金の悩みを聞く。
家計や資産状況を診断する。
問題の原因を明らかにする。
改善計画を立てる。
必要に応じて税理士、社会保険労務士、弁護士、不動産会社、保険会社など、それぞれの専門家へつなぐ。
そして、年に一度は定期的にお金の健康診断を行う。
これは医療でいう「かかりつけ医」と同じ役割です。
商品を売ることが目的ではありません。
人生をより良くすることが目的なのです。
まとめ
日本でファイナンシャルプランナーが定着しない理由は、専門性が足りないからではありません。
相談と販売が混同されていること。
相談料を払う文化が十分に育っていないこと。
そして、「お金の相談をする」という習慣そのものが社会に根付いていないこと。
これらが大きな要因です。
だからこそ、これから必要なのは、商品を売る人ではなく、お金の健康状態を診断し、人生全体を支える存在です。
病気になれば病院へ行くように、お金に不安を感じたら「お金の病院」へ相談する。
そんな文化が日本に根付けば、多くの人は「何を買えばいいか」ではなく、「自分には何が必要なのか」を考えられるようになるでしょう。
その第一歩は、「売る」ことではなく、「診る」こと。
それこそが、お金の相談の未来ではないでしょうか。


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