バビロンの大富豪②「欲しいもの」と「必要なもの」を混同していませんか? ――なぜ収入が増えても、お金が貯まらないのか

FP

【バビロンの大富豪②】

「欲しいもの」と「必要なもの」を混同していませんか?

――なぜ収入が増えても、お金が貯まらないのか

「昔より給料が増えたのに、なぜかお金が残らない」

「節約しているつもりなのに、毎月ギリギリ」

「収入が増えれば、もっと楽になると思っていたのに……」

そんな経験はありませんか?

実は、これは珍しいことではありません。

『バビロンの大富豪』には、この問題をとても鋭く指摘する言葉があります。

「必要な支出は、放っておくと収入と同じくらいまで膨らんでしまう」

という考え方です。原著の「第二の教え」は、まさに**「支出をコントロールせよ」**というものです。

では、なぜ収入が増えても、お金は貯まらないのでしょうか?

今回は、具体的な家計を例に考えてみましょう。


1.月収20万円の人が、月収30万円になったら?

例えば、Aさんがいるとします。

以前の手取り収入は、

月20万円

でした。

Aさんは、

「20万円では生活が苦しい。30万円あれば、かなり楽になるだろう」

と考えていました。

そして努力して収入が増え、

手取り30万円

になりました。

ところが、1年後。

Aさんの銀行口座には、思ったほどお金がありません。

なぜでしょう?

以前は、

  • 家賃 6万円
  • 食費 4万円
  • 水道光熱費 2万円
  • 通信費 1万円
  • 交通費 1万円
  • 保険 1万円
  • 娯楽・交際費 2万円
  • その他 3万円

合計20万円。

これで生活していました。

ところが、収入が30万円になると、

「少し良い部屋に住もう」

「外食を増やそう」

「スマートフォンを新しくしよう」

「旅行にも行こう」

「せっかく収入が増えたのだから、少しくらい楽しもう」

となります。

そして、

支出も30万円近くまで増えてしまう。

結果、

収入20万円 → 支出20万円 → 貯金0円

だった生活が、

収入30万円 → 支出30万円 → 貯金0円

になっただけです。


2.これが「生活水準の上昇」の怖さ

収入が増えると、私たちは自然に生活水準を上げたくなります。

これを現代では、

「ライフスタイル・インフレーション」

などと呼びます。

例えば、

年収400万円のときには、

「この車で十分」

と思っていたのに、

年収600万円になると、

「もう少し良い車が欲しい」

となる。

年収600万円になると、

「もう少し広い家に住みたい」

となる。

そして年収800万円になると、

「もっと良い家、もっと良い車、もっと良い旅行……」

となる。

収入が増えているのに、なぜかお金が残らない。

これは、

「収入が増えた分だけ、欲望も大きくなっている」

からです。

『バビロンの大富豪』では、まさにこの点を問題にしています。必要な支出と欲望を混同すると、支出は収入に合わせて膨らんでしまう、と教えています。


3.「必要」と「欲しい」は違う

ここで、二つの言葉を分けて考えてみましょう。

必要なもの

生活するために必要なものです。

例えば、

  • 食事
  • 住居
  • 水道
  • 電気
  • 医療
  • 最低限の衣服
  • 通勤に必要な交通費

などです。

一方、

欲しいもの

なくても生活できるけれど、

「あると嬉しい」

「もっと良いものが欲しい」

というものです。

例えば、

  • 高級車
  • ブランド品
  • 最新のスマートフォン
  • 高級レストラン
  • 高額な旅行
  • 趣味の商品
  • 必要以上に広い住宅

などです。

もちろん、「欲しいもの」を買ってはいけないという話ではありません。

人生には楽しみも必要です。

問題なのは、

「欲しいもの」を「必要なもの」と勘違いしてしまうこと

なのです。


4.「スマートフォン」を例に考えてみる

例えばスマートフォン。

連絡や仕事、情報収集のためにスマートフォンが必要だとします。

では、

最新機種が必要でしょうか?

10万円のスマートフォンでも、

20万円のスマートフォンでも、

基本的な連絡や情報収集はできます。

つまり、

スマートフォンそのものは「必要」でも、最新・高級モデルは「欲しいもの」かもしれません。

この違いに気づくだけで、家計は変わります。


5.「車」も同じ

車が必要な地域に住んでいる人なら、

車そのものは生活に必要かもしれません。

しかし、

「移動するために車が必要」

と、

「500万円の車が必要」

は別の話です。

例えば、

200万円の車でも生活できるのに、

「せっかくだから500万円の車にしよう」

となれば、

その差額300万円は、

「必要」ではなく「欲しい」に使ったお金

かもしれません。

もちろん、その車に乗ることが人生の大きな楽しみなら、それは悪いことではありません。

重要なのは、

「自分は何のために、そのお金を使うのか?」

を理解していることです。


6.予算は「我慢するため」のものではない

「家計簿をつけましょう」

「予算を作りましょう」

という話をすると、

「そんな細かい生活は嫌だ」

と思う人もいます。

しかし、『バビロンの大富豪』の考え方は少し違います。

予算は、

楽しみを奪うためのものではありません。

むしろ、

「本当に大切なものにお金を使うための仕組み」

です。

例えば、月30万円の手取り収入があるとします。

まず、

3万円 → 将来の自分のために貯める

とします。

残りは27万円です。

この27万円の中で、

  • 生活に必要なお金
  • 家族との楽しみ
  • 趣味
  • 旅行
  • 自己投資

などを配分します。

つまり、

「全部我慢する」のではなく、「使う場所を選ぶ」

のです。


7.「全部欲しい」は実現できない

人間には、

欲しいものがいくらでもあります。

旅行にも行きたい。

新しい車も欲しい。

おいしいものも食べたい。

新しい服も欲しい。

趣味にもお金を使いたい。

家も広くしたい。

老後のお金も欲しい。

子どもの教育費も必要。

しかし、

すべてを同時に実現することはできません。

だからこそ、

優先順位

が必要になります。


8.「欲しいものリスト」を作ってみる

ここで簡単な方法を紹介します。

紙に、

「自分が欲しいもの」

を全部書き出してください。

例えば、

  1. 新しい車 300万円
  2. 海外旅行 50万円
  3. 新しいパソコン 20万円
  4. 趣味の商品 10万円
  5. 老後資金 1,000万円

とします。

ここで重要なのは、

全部を同時に買おうとしないこと。

そして、

「自分にとって本当に大切なのは何か?」

を考えます。

例えば、

「車より老後資金を優先したい」

「海外旅行は年1回楽しみたい」

「パソコンは今のもので十分」

と決める。

これだけでも、お金の使い方が変わります。


9.「満足度の高い支出」を残す

節約というと、

「とにかく支出を減らす」

と思いがちです。

しかし、それでは長続きしません。

おすすめしたいのは、

満足度の低い支出から減らす

ことです。

例えば、

「ほとんど見ていない動画サービス」

「なんとなく買っているコンビニ商品」

「使っていない会員サービス」

「付き合いで何となく参加している飲み会」

などです。

一方、

「家族との旅行」

「健康のための運動」

「学びのための本」

など、

自分にとって価値の高いものは残す。

これなら、

生活の満足度を下げずに支出を減らす

ことができます。


10.「小さな支出」を馬鹿にしない

例えば、

毎日500円の無意識の支出があるとします。

500円 × 30日

15,000円

1年間では、

15,000円 × 12か月

18万円

です。

一つ一つは小さくても、

積み重なると大きな金額になります。

だからといって、

「500円のコーヒーを飲んではいけない」

ということではありません。

大切なのは、

「自分は本当にその500円を使いたいのか?」

と考えることです。


11.「安いから買う」は、本当に節約?

もう一つ注意したいのが、

「安いから買う」

という行動です。

例えば、

1万円の商品が、

「今なら5,000円!」

と聞くと、

得をしたような気がします。

しかし、

そもそも必要なかったなら、

5,000円の出費

です。

本当の節約は、

「安く買うこと」

だけではありません。

「必要のないものを買わないこと」

も立派な節約です。


12.「欲しいもの」を買うことは悪いことではない

ここは誤解しないでください。

『バビロンの大富豪』は、

「お金を使うな」

と言っているわけではありません。

むしろ、必要なものだけでなく、

「楽しみ」や「価値ある欲望」

にもお金を使うことを認めています。

ただし、

「将来の自分を犠牲にしてまで、今の欲望を満たさない」

ことが重要です。

例えば、

毎月3万円を将来のために残した上で、

残ったお金で家族と外食する。

これは、

「貯める」と「楽しむ」

を両立しています。


13.家計を「4つの財布」に分けてみる

実際に家計を管理するなら、次の4つに分けると分かりやすくなります。

① 未来の財布

将来のためのお金。

  • 貯蓄
  • 投資
  • 老後資金

など。

② 生活の財布

生きていくために必要なお金。

  • 食費
  • 家賃
  • 光熱費
  • 通信費
  • 医療費

など。

③ 楽しみの財布

人生を楽しむためのお金。

  • 外食
  • 旅行
  • 趣味
  • レジャー

など。

④ 成長の財布

自分を成長させるためのお金。

  • 資格
  • 講座
  • パソコン
  • スキルアップ

など。

この4つを意識するだけでも、

「何にお金を使っているのか」

が見えるようになります。


14.「収入が増えたら、全部使わない」

ここが今回の一番重要なポイントです。

収入が増えたとき、

全部を生活水準アップに使わない。

例えば、

手取りが月30万円から35万円になったとします。

増えた5万円を、

全部使ってしまうのではなく、

2万円 → 将来のために貯蓄・投資

3万円 → 生活や楽しみに使う

という方法もあります。

こうすれば、

収入アップ=資産アップ

につながります。

これが、お金を貯める人と貯まらない人の大きな違いです。


15.「お金持ち」は我慢しているのではない

お金持ちになるために、

「何も買わない」

必要はありません。

重要なのは、

「自分にとって価値のあるものを選んで買う」

ことです。

例えば、

「旅行が大好き」

という人なら、

服を減らして旅行にお金を使う。

「本を読むのが好き」

という人なら、

飲み会を減らして本にお金を使う。

「家族との時間が大切」

という人なら、

家族との体験にお金を使う。

つまり、

節約とは、お金を使わないことではありません。

「大切ではないものにお金を使わないこと」

なのです。


16.「お金の病院」の視点で考える

人間の健康診断でも、

「体重が増えました」

という結果だけでは、原因は分かりません。

食べ過ぎなのか。

運動不足なのか。

生活習慣なのか。

原因を調べる必要があります。

家計も同じです。

「お金が貯まらない」

という症状があったら、

どこからお金が漏れているのか?

を調べます。

例えば、

  • 住宅費
  • 保険
  • 通信費
  • 食費
  • 外食
  • サブスク
  • 趣味
  • 衝動買い

などです。

これが、

「お金の健康診断」

です。


17.今日からできる「支出の健康診断」

まず、過去1か月の支出を全部書き出してみましょう。

そして、一つ一つに、

A:絶対に必要

B:あったほうがいい

C:なくても困らない

の3つの印をつけます。

例えば、

支出 判定
家賃 A
電気代 A
食費 A
スマートフォン A
最新スマートフォンへの買い替え B~C
毎日のコンビニ B
使っていないサブスク C
年1回の家族旅行 B
趣味 B
衝動買い C

そして、

Cから減らす。

これだけでも、かなり変わります。


18.第二の教えの本質

『バビロンの大富豪』の第二の教えは、

単なる「節約術」ではありません。

本質は、

「自分の限られたお金を、自分の人生にとって価値のあるものへ振り向ける」

ということです。

収入が増えても、

欲望のままに支出を増やせば、お金は残りません。

反対に、

収入の範囲内で支出をコントロールし、

将来のためのお金を確保し、

残ったお金を自分の大切なことに使う。

これが、

「豊かに生きるためのお金の使い方」

なのです。


まとめ

今回の教えを一言で表すなら、

「欲しいもの」と「必要なもの」を分ける

です。

そして、具体的には、

① 収入が増えても支出を同じだけ増やさない

② 必要なものと欲しいものを区別する

③ 予算は我慢するためではなく、夢を実現するために使う

④ 満足度の低い支出から減らす

⑤ 「安いから買う」をやめる

⑥ 将来の自分への貯蓄を最優先する

⑦ 残ったお金は、自分にとって価値のあることに使う

ということです。


お金が貯まる人の考え方

「いくら使えるか?」

ではなく、

「何にお金を使うべきか?」

と考えます。

そして、

収入が増えたら生活を派手にするのではなく、未来の自分を豊かにする。

これが『バビロンの大富豪』第二の教えです。

次回は、いよいよ第三の教え。

【バビロンの大富豪③】

「貯めたお金を働かせる」

――お金を「貯める」だけの人と、「増やす」人の違い

について、銀行預金・投資信託・株式・不動産などを例にしながら、「お金に働いてもらう」とはどういうことなのかを具体的に考えていきます。

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