AIはなんでもできるというのは妄想です。AIは完璧でないので使わないというのも違います。
電卓やエクセルのような表計算ソフトのように、人間の仕事を手伝ってくれる道具なのです。
たとえば情報を集める。分析するといったことはAIは得意としています。
これまで何千万円もかけていたマーケティング分析も得意です。
クラスター分析なども自動で集合体を作って分析してくれます。
小説にしても人間がアイデアを出さないと書いてくれません。
人間がAIと会話しながら一つの作品を作り上げます。
人間のアイデアとAIの提案を何度も更新しながらの作業となりますのでそう簡単ではありませんが、
自分で手書きしたり、文字を打ち込むより格段と早く作ることができます。
ここでは、わたしの疑問(フィジカルAIがあるのになぜ人が月に行くのか)をAIに手伝ってもらって物語にしました。
読むのが苦手な方は、PCなどの音声読み上げ機能を使ってください
PROJECT EDEN
第一章
一通の封筒
2027年4月7日(水)
東京・お台場
午後7時18分
東京湾に面した研究棟の窓から、夕暮れの光が静かに差し込んでいた。
高橋悠真は、ディスプレイに表示されたログを黙って見つめていた。
画面の中央には、ヒューマノイドロボットの行動履歴が高速で流れている。
Task 4582 完了
Task 4583 完了
Task 4584 エラー
Task 4584 再実行
Task 4584 成功
悠真は小さく息をついた。
「また転んだか……。」
画面には、建設現場を模した実験施設で、二足歩行ロボットが資材を運ぶ映像が映し出されていた。
高さ二メートル、重量百二十キログラム。
人間とほとんど変わらない姿をしたその機体は、資材を抱えたまま小さな段差につまずき、ゆっくりと前へ倒れた。
衝撃で資材が散らばる。
しかしロボットはすぐに起き上がり、散乱した資材を一つずつ拾い集める。
そして、何事もなかったように作業を続けた。
「転ばないAIより、転んでも立ち上がるAIか。」
悠真は誰に言うでもなくつぶやいた。
その言葉を聞いた同僚の佐伯誠が笑う。
「それ、社長に聞かれたら怒られるぞ。」
「『転倒率ゼロを目指せ』って毎週言ってるからな。」
悠真も苦笑した。
「現場は違いますよ。」
「ゼロなんてありません。」
「人間だって転びます。」
佐伯は缶コーヒーを机に置いた。
「だからお前は研究者なんだ。」
「営業なら絶対に言わない。」
二人は笑った。
研究室には、そんな空気がよく似合っていた。
悠真は二十九歳。
大学では機械工学を学び、その後、AI制御を専門とするベンチャー企業へ入社した。
学生時代から夢見ていたのは、「人の代わりに危険な仕事をするロボット」を作ることだった。
地震災害。
火山。
深海。
原子力施設。
宇宙。
人が入れない場所で働くロボット。
それが彼の夢だった。
だが、現実は少し違っていた。
会社が求めるのは、工場の自動化や物流倉庫向けのシステム。
売れる技術が優先される。
研究者としては当然だと理解していても、心のどこかで物足りなさを感じていた。
「もし予算が無限にあったら、何を作る?」
学生時代、恩師にそう聞かれたことがある。
悠真は迷わず答えた。
「宇宙で働くロボットです。」
恩師は笑って言った。
「だったら地球で一番優秀なロボットを作れ。」
「宇宙は、その延長線上にある。」
その言葉は、今でも悠真の心に残っていた。
午後八時。
研究室の照明が自動的に半分消える。
残っているのは数人だけだった。
佐伯は先に帰宅し、悠真もパソコンを閉じる。
「今日も終わりか。」
エレベーターで一階へ降りると、受付の女性が声をかけた。
「高橋さん。」
「はい?」
「お荷物が届いています。」
小さな茶色い封筒だった。
宅配便ではない。
差出人もない。
切手もない。
「誰かが直接持ってきたみたいです。」
悠真は首をかしげた。
「ありがとうございます。」
封筒は驚くほど軽かった。
中に入っているのは、紙が一枚だけのようだった。
会社を出る。
春の夜風が心地よい。
駅へ向かう途中、公園のベンチに腰掛け、封を切った。
中には、厚手の白い紙が一枚。
それだけだった。
ゆっくりと開く。
そこには、美しい明朝体で、たった一文だけ印刷されていた。
あなたは、人類の次の百年を設計する覚悟がありますか。
悠真は眉をひそめた。
何かの広告か。
採用案内か。
裏返してみる。
何もない。
住所も。
電話番号も。
QRコードも。
企業名も。
一切書かれていなかった。
その代わり、紙の下部に、小さな銀色の箔押しがあることに気付く。
直径一センチほどの円。
その中に刻まれていたのは、一本の若木を囲む月の輪郭。
見たことのない紋章だった。
その瞬間だった。
ポケットのスマートフォンが震えた。
画面には、「非通知」の文字。
一瞬ためらったあと、悠真は通話ボタンを押す。
「……もしもし。」
数秒の沈黙。
そして、年齢も性別も分からない、落ち着いた声が聞こえた。
「高橋悠真さんですね。」
「はい。」
「封筒は届きましたか。」
悠真の心臓が、一拍だけ強く脈打つ。
「……あなたは誰ですか。」
電話の向こうの人物は、その質問には答えなかった。
静かに、しかしはっきりと言った。
「七十二時間後、あなたの人生は終わります。」
悠真は凍りついた。
「……え?」
数秒の沈黙。
そして、続く言葉は、さらに理解できなかった。
「安心してください。」
「終わるのは、これまでの人生です。」
電話は切れた。
春の風が、公園の桜を揺らす。
遠くでは、子どもたちの笑い声が聞こえていた。
その穏やかな夜の景色だけが、今までと何ひとつ変わっていなかった。
しかし悠真はまだ知らない。
三日後、自分が踏み入れる世界が、日本の地図にも、政府の資料にも、どこにも存在しない場所であることを。
そして、その選択が、人類の未来そのものを書き換えることになることを。


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