SC経営士試験2024経営戦略問題と解答【第1問】【第2問】
解答1から20まで、問題、解答はSC協会のHPから作成しています。問題の最後に用語の意味も記載しています。PMIなどの略語にはいくつかの意味がありますので、ご自分でも調べてください。
https://www.jcsc.or.jp/management/qanda.html
経営戦略に関する記述
【第1問】〈配点 10 点〉 (解答番号は 1 から 10 ) 次の文章は、「経営戦略」に関する記述である。記述内容に最も適切な語句を下記の語群から選び、解答欄にそ の番号をマークしなさい。
1 市場の隙間を狙い、小さな市場で相対的に優位なシェアを得、収益を上げる戦略のこと。
解答:3.ニッチ戦略
2 原材料の調達から製造、販売までを一元管理し、全工程を最適化するための経営管理手法のこと。
解答:15.サプライチェーンマネジメント
3 環境対応や環境保全を、企業活動を行う上での当然の責務と位置づけながら、同時に経済的価値を 生み出し、企業価値向上を図ろうとする経営のこと。
解答:9.環境経営
4 企業における各事業活動を価値創造の視点からとらえ、それぞれの活動がどのように全体の価値に 貢献しているかを分析するフレームワークのこと。
解答:2.バリューチェーン
5 企業の持続的な成長を可能とする自社特有の事業活動領域のこと。ステークホルダーに対して共通 認識が得られるものが求められる。
解答:4.ドメイン
6 DM(ダイレクトメール)、電話、訪問、店舗、インターネットなどの顧客アプローチ手段を戦略的 に組み合わせること。
解答:12.チャネル・ミックス
7 優れた成果を創出する個人の能力・行動特性のこと。
解答:8.コンピテンシー
8 情報を収集し分類し、他の人と共有すること。情報の組み合わせ方やバリエーションによって、独 自の価値を作り出すことができる。
解答:13.キュレーション
9 ある要素と別の要素を組み合わせ、同時に働かせることで、それらが単体で働いた時以上の効果が 発揮されること。
解答:1.シナジー
10 従来存在しなかったまったく新しい領域に事業を展開していく戦略。他社と競合することなく事業 を展開することができる。
解答:10.ブルー・オーシャン戦略
語群( 1 〜 10 )
1.シナジー 2.バリューチェーン 3.ニッチ戦略 4.ドメイン 5.サステイナビリティ
6.リテラシー 7.ケイパビリティー 8.コンピテンシー 9.環境経営
10.ブルー・オーシャン戦略 11.BSC 12.チャネル・ミックス 13.キュレーション
14.BPO 15.サプライチェーンマネジメント
- シナジー(Synergy)
企業同士や部門同士が連携することで、単独では得られない成果や効果を生み出すこと。たとえば、2社が合併してコスト削減や売上増加を図る場合などに「シナジー効果を狙う」と言います。 - バリューチェーン(Value Chain)
企業の活動を「価値を生む工程」として捉える考え方。製品の開発、製造、物流、販売、アフターサービスなど、一連の流れを分析し、どこで付加価値を生み出しているかを把握・強化します。 - ニッチ戦略(Niche Strategy)
大企業が参入していない、または需要が少ない「すき間市場(ニッチ市場)」に特化して競争優位を築く戦略。小さくても特定の顧客ニーズにしっかり応えることが重要です。 - ドメイン(Domain)
企業が事業を展開する「領域」や「分野」のこと。たとえば、「私たちは“健康食品”というドメインで価値を提供している」というように使います。 - サステイナビリティ(Sustainability)
環境や社会に配慮しながら、将来にわたって企業活動や人々の暮らしを維持・発展させること。温暖化対策や再生可能エネルギーの活用、労働環境の改善などが含まれます。 - リテラシー(Literacy)
本来は「読み書きの能力」ですが、現代では「情報を正しく理解し活用する力」として使われます。例:ITリテラシー(ITを使いこなす力)、メディアリテラシー(情報の真偽を見抜く力)など。 - ケイパビリティー(Capability)
企業や組織が持つ「能力・資源」のこと。技術力、人材、ノウハウなど、競争力の源となる内部資源を指します。経営資源として重要視されます。 - コンピテンシー(Competency)
仕事で成果を出すための「行動特性」や「能力」。たとえば、リーダーシップや問題解決力、チームワークなど。人材評価や採用の基準としても使われます。 - 環境経営(Environmental Management)
企業活動の中で環境保護を意識しながら経営を行うこと。エネルギーの効率的な使用、廃棄物の削減、環境負荷の少ない製品の開発などが含まれます。 - ブルー・オーシャン戦略(Blue Ocean Strategy)
競争の激しい市場(レッド・オーシャン)ではなく、競争のない新市場(ブルー・オーシャン)を創り出すことで、価格競争を避け、独自の価値で勝負する戦略です。 - BSC(バランスト・スコアカード:Balanced Scorecard)
企業の業績を「財務」「顧客」「業務プロセス」「学習と成長」の4つの視点からバランスよく評価・管理する手法。戦略を具体的な目標に落とし込みます。 - チャネル・ミックス(Channel Mix)
製品やサービスを顧客に届けるための「販売経路(チャネル)」の組み合わせ。たとえば、「実店舗」「ECサイト」「カタログ通販」など、複数を使い分けることで顧客接点を最大化します。 - キュレーション(Curation)
インターネット上の膨大な情報を、テーマごとに選び出し、整理して提供すること。キュレーションサイトやアプリは、ユーザーが情報を効率よく得るのに役立ちます。 - BPO(Business Process Outsourcing)
企業の業務プロセスの一部(例:経理、人事、カスタマーサポートなど)を外部の専門業者に委託すること。コスト削減や効率化が目的です。 - サプライチェーンマネジメント(SCM:Supply Chain Management)
原材料の調達から製品の製造・物流・販売までの全体の流れを統合的に管理し、全体の最適化と効率化を図る手法。納期短縮や在庫削減につながります。
経営理念と経営戦略
【第2問】〈配点 10 点〉 (解答番号は 11 から 20 ) 次の文章は、「経営理念と経営戦略」に関する記述である。空欄に最も適切な語句を下記の語群から選び、解答 欄にその番号をマークしなさい。
(A群)【経営理念と経営戦略の関係性】
2022 年の中小企業白書ではCollins・Porras(1995)の「経営理念・ビジョン」を紹介している。 それによると「経営理念・ビジョン」は「コアバリュー 」「 パーパス 」「ミッション」の 3 つの要素で構成 され、「経営理念・ビジョン」と経営戦略、経営戦術の関係を示している。
その中で、優れた企業が持つ 「経営理念・ビジョン」として、「明確さ」と「 共有 」の 2 つの条件を指摘し、これらが満たされること で「経営理念・ビジョン」が初めて真の効果を発揮すると説明している。
他方で、2 つの条件を満たしていな い組織は、取り巻く環境の変化や課題に対する経営戦略が曖昧となり、 対処療法 的な経営判断や戦術遂行とならざるを得ないことが指摘されている。
(A群語群)( 11 〜 15 )
1.目標 2.共有 3.原因療法 4.戦術 5.パーパス 6.コンピタンス 7.バリュー 8.クレド 9.専有 10.対処療法
- 目標(Goal)
達成したい具体的な到達点。たとえば「今期の売上を1億円にする」など、行動の指針になるものです。ビジョンや目的を具体的にしたものと言えます。 - 共有(Sharing)
情報や考え方、価値観などを他の人と「一緒に持つこと」。たとえば、会社の目標や理念を社員全員で共有することで、チームワークや一体感が生まれます。 - 原因療法(Root Cause Therapy)
問題の「根本原因」を取り除く治療法や解決法。たとえば、風邪の原因がウイルスなら、そのウイルスを除去する薬を使うのが原因療法です。ビジネスでも、トラブルの根本原因を探って対処することを意味します。 - 戦術(Tactics)
目標を達成するための具体的な方法や手段。たとえば、「SNS広告を使って集客する」といった、実行レベルの戦略です。戦略(Strategy)の下に位置します。 - パーパス(Purpose)
企業や人の「存在意義」や「社会的使命」。たとえば「地球にやさしい製品を提供し、持続可能な未来に貢献する」といった大きな方向性のこと。近年、企業のブランディングでも重視されています。 - コンピタンス(Competence)
ある仕事や分野における「専門的な能力」や「スキル」。たとえば、営業職なら「交渉力」や「顧客理解力」などがその人のコンピタンスです。※コンピテンシーと似ていますが、より専門的な知識やスキルに焦点を当てる言葉です。 - バリュー(Value)
「価値」や「価値観」のこと。企業バリューとは、企業が大切にする考え方(例:誠実さ、革新、顧客第一)を指します。社員の行動の指針にもなります。 - クレド(Credo)
企業の信条や行動指針を簡潔にまとめた言葉。ラテン語で「信条」の意味。社員がどう行動すべきかを明文化し、企業文化の土台になります。有名な例はジョンソン・エンド・ジョンソンの「Our Credo」。 - 専有(Exclusive Ownership)
ある人や組織だけが独占的に持っている状態。たとえば「専有技術」は、他社にはない独自技術のこと。特許やノウハウなど、競争優位性につながる資産です。 - 対処療法(Symptomatic Therapy)
病気や問題の「表面に出ている症状」だけを抑える方法。たとえば、風邪で熱が出たときに解熱剤を使うのがこれに当たります。根本解決ではなく、一時的な対応になることが多いです。
(B群)【経営戦略】 企業を成長・存続させるためには、明確な「経営理念・ビジョン」を共有し、企業が進むべき方向性 を示す必要があるが、その方向性を示す方針が「経営戦略」である。
具体的には、経営戦略は、自社の 強み を活かし、 経営資源 を効果的に運用しながら、 競争優位 を持 続的に維持できるよう経営環境の変化に対応して策定される。
経営戦略は、企業戦略(全社戦略)、 事業戦略 、 機能戦略(機能別戦略)の 3 つのレベルに分類されるが、経営戦略の見直しや経営計画への落とし込み、 KPI による経営管理など経営戦略の運用に取り組むことが重要である。
(B群語群)( 16 〜 20 )
1.競争優位 2.強み 3.交渉力 4.OJT 5.KPI 6.部門戦略 7.経営資源 8.財務 9.人間力 10.事業戦略
- 競争優位(Competitive Advantage)
他の競争者と比較して、自社が持つ優れた特徴や能力。たとえば、技術力、ブランド、コスト優位性などが競争優位にあたります。競争優位を持つことで、他社と差別化し、市場で有利に立つことができます。 - 強み(Strength)
企業や個人が他と比べて優れている点や特徴。たとえば、特定の市場での高い認知度や独自技術などがその企業の強みです。自己分析や企業戦略で強みを生かすことが重要です。 - 交渉力(Negotiation Power)
交渉の場で、自分または自社が有利に取引を進めるための力。例えば、大きな取引先と交渉する際には、提供する価値や必要性に応じて、価格や条件を有利に設定できる力が必要です。 - OJT(On-the-Job Training)
仕事をしながら実務を通じて学ぶ訓練方法。新人や未経験者が、業務の中で先輩から直接指導を受け、実践的なスキルを身につけることです。 - KPI(Key Performance Indicator)
重要業績評価指標。企業やプロジェクトの目標達成度を測るための具体的な数値や指標。たとえば「売上高」「顧客満足度」「納期遵守率」などがKPIとして設定されます。 - 部門戦略(Departmental Strategy)
企業全体の戦略に基づき、特定の部門(営業部、開発部、マーケティング部など)でどのように活動するかを決める戦略。部門ごとの目標設定や業務プロセスの改善が含まれます。 - 経営資源(Management Resources)
企業が事業運営を行うために必要な資源。主に「ヒト(人材)」「モノ(設備や技術)」「カネ(資金)」の3つの要素に分けられ、これらを効果的に活用することが重要です。 - 財務(Finance)
企業の資金調達や運用、投資に関する管理や計画。財務管理の目標は、企業の安定した資金繰りを確保し、利益を最大化することです。例:予算管理、キャッシュフロー、決算分析。 - 人間力(Human Power)
仕事や社会生活を送る上での「人としての力」。例えば、コミュニケーション能力や問題解決能力、リーダーシップ、協調性など、社会や職場での成功に必要な総合的な能力を指します。 - 事業戦略(Business Strategy)
企業が市場で競争優位を確立し、成長を遂げるための全体的な計画。どの市場に参入し、どんな製品やサービスを提供するかを決定する戦略です。例:市場浸透戦略、新規事業開発戦略。
まとめ
SC経営士の試験に教科書はありません。過去問はすべての受験生が勉強していますので、落とさないようにしてください。

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