SC経営士試験2024SC開発問題と解答【第5~8問】
解答21から40まで、問題、解答はSC協会のHPから作成しています。問題の最後に用語の意味も記載しています。略語にはいくつかの意味がありますので、ご自分でも調べてください。
https://www.jcsc.or.jp/management/qanda.html
開発は計算問題が多いので、通信教育で免除されることをお勧めします。計算は時間がかかりますので、受験する場合は文章問題が済んでから最後に解答するのが良いと思います。
AIによる解説も入れていますが、参考程度にご利用ください。
事業性評価
【第5問】〈配点 10 点〉 (解答番号は 21 から 25 ) 次の事業性評価に関する記述を読み、それぞれ文中の空欄に最も適切なものを下記語群から選びなさい。
投資回収
21 SCを不動産事業として捉えた場合、投下する資源(人的、物的資源や資金)を得られる収益で回収 し、利益を得ることを目指す。事業損益や投資利回りのほか投資回収年という考えもある。投資回収 年は投下資金(総投資額から保証金や敷金を差し引いたもの)を安定稼働時の年間回収金額で割り、 投下資金の回収期間を指標とするものである。理想とする回収期間は 10 年~15 年程度。この際用い る回収金額は 21 をベースとする。
語群 21 1.BS 2.PL 3.キャッシュフロー 4.NOI 5.資金計画
1.BS(Balance Sheet:貸借対照表)
ある時点での企業の財産状態(資産・負債・資本)を示す表。
- 左側に「資産(何を持っているか)」
- 右側に「負債(借金など)と純資産(自己資本)」
企業の健康状態・安定性を見るのに使う。
2.PL(Profit and Loss Statement:損益計算書)
一定期間の企業の収益と費用をまとめた表。
- 売上から費用を引いて「利益」がどれだけ出たかを示す
- 収益性を判断するために使われる
3.キャッシュフロー(Cash Flow)
お金の出入り(実際の資金の動き)を示す。
- 「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つに分類
- 利益が出ていてもキャッシュが足りなければ経営が苦しくなるため、重要な指標
4.NOI(Net Operating Income:純営業利益)
不動産などの運用収益から、運営コストを引いた純粋な収入。
- 賃料収入などの「営業収入」-「運営費用(管理費・修繕費など)」
- 金利・税金・減価償却費は含まない
→ 投資判断や収益性比較で使われる
5.資金計画
事業を行う上で「いつ・いくら・どこから資金を調達し、どう使うか」の計画。
- 自己資金・融資・出資などの調達手段
- 設備投資・運転資金などへの使い道
SC開発やテナント誘致において、初期投資の回収や収支バランスをとるために重要。
投資回収の積算額
22 SCを投資事業としてとらえた場合、投下する資金の利回りを重要視する。不動産事業としてとら えた場合の投資利回りとのもっとも大きな違いは時間の観点である。投資事業としてとらえた場合、 単に投下する資金と回収金額とで比較するのではなく、将来得られる回収金額や売却益などの資金 は一定の割引率を用いて補正した上で積算し、投下資金と比較しゼロ以上の価値があるか判断する。 この時の投資回収の積算額を 22 という。
語群 22 1.ROA 2.NPV 3.IRR 4.COC 5.ROE
1.ROA(Return on Assets:総資産利益率)
企業が保有する全資産を使って、どれだけ利益を出しているかを示す指標。
計算式:
👉 ROA = 当期純利益 ÷ 総資産 × 100(%)
- 「企業の効率性」を見る
- 数字が高いほど、資産をうまく使って利益を出せている
2.NPV(Net Present Value:正味現在価値)
将来得られるキャッシュフローを現在の価値に換算して、初期投資と比較した利益額。
計算式(概略):
👉 NPV = 将来のキャッシュフローの現在価値の合計 − 初期投資額
- NPVがプラス → 投資する価値あり
- NPVがマイナス → 投資すべきでない
3.IRR(Internal Rate of Return:内部収益率)
投資によって得られるリターン(利回り)を示す指標。
- 投資によって得られるキャッシュフローの現在価値が、初期投資と等しくなる割引率
- IRRが資本コスト(COC)より大きい → 投資すべき
4.COC(Cost of Capital:資本コスト)
企業が資金を調達する際に必要なコスト(リターンの期待値)。
- 借入金利や株主が期待する利回りなどを含む
- 投資判断では「IRRがCOCより高いか」で採算性を判断
5.ROE(Return on Equity:自己資本利益率)
株主が出資したお金(自己資本)を使って、どれだけ利益を上げたかを示す。
計算式:
👉 ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100(%)
- 投資家が注目する指標の1つ
- 高いほど「株主のお金を有効に使っている」と評価される
各指標は「投資の採算性」や「企業の収益効率」を判断するために使われ、SC運営・開発でも非常に重要な視点になります。
事業を実施すべきかどうかを判断する
23 22 と同様の考え方で、将来得られる回収金額や売却益などを一定の割引率で補正し、投下 資金と比較して=0(ゼロ)となる割引率を求めたものが 23 である。この割引率と資金調達 コスト(借入の金利など)を比較することで、事業を実施すべきかどうかを判断する。SCは売上に より賃料収入が変わるなどオフィスや住宅と比較してもややリスクが高いとされるため、求められ る割引率はリスクプレミアムとして高くなる傾向がある。
語群 23 1.ROA 2.NPV 3.IRR 4.COC 5.ROE
1.ROA(Return on Assets:総資産利益率)
企業が持つ総資産をどれだけ効率よく使って利益を出しているかを示す指標。
計算式:
ROA = 当期純利益 ÷ 総資産 × 100(%)
→ 資産全体に対する収益力を見る指標です。
2.NPV(Net Present Value:正味現在価値)
将来のキャッシュフローを現在の価値に割り引いて、初期投資額と比較した金額。
→ 投資案件の収益性を判断する指標。
- NPV > 0:投資すべき
- NPV < 0:投資しない方がよい
3.IRR(Internal Rate of Return:内部収益率)
将来キャッシュフローの合計が、初期投資額と等しくなるような利回り(割引率)。
→ 投資から得られる「年利回り」に相当する数値。
- IRR > COC(資本コスト)なら投資価値あり
4.COC(Cost of Capital:資本コスト)
企業が資金調達をする際にかかるコスト(株主や債権者に支払う期待リターン)。
→ IRRやNPVと比較する「基準」となる利率。
5.ROE(Return on Equity:自己資本利益率)
自己資本(株主資本)に対してどれだけ利益を出せたかを示す指標。
計算式:
ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100(%)
→ 投資家や株主が特に重視する「収益性」の指標。
CCR
24 事業性評価の事例として、SCを事業として捉え直接還元法の一種であるCCR(一定期間に得ら れる利益の総額を分子、投じた自己資金の総額を分母として求めるもの)で考えた場合、例えば、総 投資額 50 億円のSCをLTV40%で事業化した場合、年間NOIが 3.6 億円、借入金利は 3%とし て 5 年後に購入額同額の 50 億円で売却した場合の年間のCCRは 24 となる。
語群 24 1.6.5% 2.8.0% 3.9.5% 4.10.0% 5.11.5%
この問題は、ショッピングセンター(SC)の**CCR(Cash on Cash Return:自己資金利益率)**を求めるものです。
🔢 CCRの計算式(割り算表記)
CCR(%)=(年間のキャッシュフロー ÷ 自己資金)× 100
🧮 問題の条件整理
項目 | 値 |
総投資額 | 50億円 |
LTV(借入比率) | 40%(=借入20億円) |
自己資金 | 60%(=30億円) |
年間NOI(純収益) | 3.6億円 |
借入金利 | 3% |
借入額 | 20億円 |
年間利息支払額 | 20億円 × 0.03 = 0.6億円 |
年間キャッシュフロー | 3.6億円 − 0.6億円 = 3.0億円 |
✅ CCRの計算
CCR = 3.0億円 ÷ 30億円 × 100
= 0.10 × 100
= 10.0%
✅ 正解:4.10.0%
エネルギー消費量を正味 (ネット)でゼロにすることを目指す建物
25 環境への影響に対する関心の高まりもあり、事業における収益面の評価だけでなく環境性能面への 対応も必要になっている。環境省は快適な室内環境を実現しながら、省エネによって使うエネル ギーを減らし、創エネによって使う分のエネルギーをつくることで、エネルギー消費量を正味 (ネット)でゼロにすることを目指す建物を 25 と称した。この定義はまだ議論途上では あるが、大規模な複合用途の建物においては、建物全体だけでなく、一部の用途での評価が可能 となるよう拡充が図られている。
語群 25 1.CASBEE 2.LEED 3.WELL 4.ZEB 5.GREEN BUILDING
1.CASBEE(キャスビー)
- 正式名称: 建築環境総合性能評価システム(Comprehensive Assessment System for Built Environment Efficiency)
- 概要: 日本で開発された建物の環境性能を評価する制度。建物の省エネ性能、快適性、資源循環などを総合的に判定。
- 特徴: 評価ランクは「S」「A」「B+」「B−」「C」などで表示され、自治体によっては届出義務がある。
2.LEED(リード)
- 正式名称: Leadership in Energy and Environmental Design
- 概要: アメリカの環境建築評価制度。世界的に使われており、エネルギー効率・水使用量・資材選定・室内環境などを評価。
- 特徴: 評価レベルは「Certified」「Silver」「Gold」「Platinum」などでランク付けされる。
3.WELL(ウェル)
- 正式名称: WELL Building Standard
- 概要: 建物の**“人の健康や快適性”**にフォーカスした評価制度。空気・水・光・運動・心・食事など、人間中心の視点で評価。
- 特徴: オフィスや商業施設の従業員・来客の健康志向が高まる中で注目されている。
4.ZEB(ゼブ)
- 正式名称: Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)
- 概要: 年間の一次エネルギー消費量が正味でゼロになる建物。省エネ+再エネ活用でエネルギー収支をゼロに近づける。
- 分類: 「ZEB」「Nearly ZEB」「ZEB Ready」など、達成度に応じた区分がある。
5.GREEN BUILDING(グリーンビルディング)
- 概要: 環境負荷が少なく、エネルギー効率の高い建築物の総称。
- 内容例: エネルギー削減、水資源の有効活用、緑化、資材選定、室内環境の改善など。
- 認証例: CASBEE、LEED、WELL、DBJ Green Building認証などがある。
リーシングと出店契約
【第6問】〈配点 10 点〉 (解答番号は 26 から 30 ) 次のリーシングと出店契約に関する記述を読み、それぞれ文中の空欄に最も適切なものを下記語群から選びなさい。
共益費
26 ディベロッパーが総括して管理する共用部分や共用施設の運営に要する必要経費を按分してテナン トから徴収する費用を共益費という。共益費は ① 26 の原則 ②公平・平等の原則 ③実費精 算の原則に基づいて負担されることが望ましいとされているが、共益費定額方式や、共益費を賃料 に含む総合賃料形態を採用する場合もある。
語群 26 1.面積按分 2.受益者負担 3.個別徴収 4.売上管理 5.定期返還
以下に、ショッピングセンター(SC)や不動産管理・施設運営などで使われる重要用語についてわかりやすく説明します。
1.面積按分(めんせきあんぶん)
- 意味: 共用部の費用(光熱費・清掃費・警備費など)を、各テナントの専有面積の比率に応じて分担する方法。
- 例: SC全体の共用部が月100万円かかり、自店舗が全体の10%の面積を占めていれば、10万円を負担する。
2.受益者負担(じゅえきしゃふたん)
- 意味: サービスや利益を受けた者が、その費用を公平に負担する考え方。
- 例: イベントや施設改修など、特定のエリアだけに利益がある場合、そのエリアのテナントだけが費用を負担する。
3.個別徴収(こべつちょうしゅう)
- 意味: 費用や料金を、共通ではなく各テナントや個人ごとに個別に徴収する方式。
- 例: 駐車場使用料や特定のイベント参加費など、利用したテナントのみから徴収する。
4.売上管理(うりあげかんり)
- 意味: テナントの売上を正確に把握し、SC運営や歩合賃料の計算などに反映させる業務。
- 方法: POSレジ連携、日報提出、売上報告システムの導入など。
5.定期返還(ていきへんかん)
- 意味: 預かり保証金や敷金などを、契約終了後に契約条件に従って一定の時期・方法で返金すること。
- ポイント: 滞納や損傷などがなければ、全額返還されるのが原則。
SCの統一的な運営管理のために必要な営業上のルールを定めたもの
27 SCの統一的な運営管理のために必要な営業上のルールを定めたものを 27 という。 27 はテナントの営業に一定の制約を課すことにもなるが、SCは多くのテナント企業との共 同事業であり、SCの統一性を保つためにもこの規則を遵守する義務があることをテナント出店時 の契約書に明記しておく必要がある。
語群 27 1.賃貸借契約 2.販売促進規約 3.リファレンスマニュアル 4.テナント会会則 5.営業管理規則
1.賃貸借契約(ちんたいしゃけいやく)
- 意味: 物件の貸主(オーナー)と借主(テナント)の間で結ばれる契約で、物件の使用許可やその条件、賃料、契約期間などを定める法的契約書。
- 内容:
- 賃料、契約期間、解約条項、修繕責任、使用目的などが記載される。
- 施設の改修や設備の使用についての制限も記載されることが多い。
2.販売促進規約(はんばいそくしんきやく)
- 意味: テナントや店舗が営業活動において遵守するべき販売促進活動に関する規定を定めた規約。
- 内容:
- 特売、割引、キャンペーンなどの実施方法やルール。
- 集客イベントやマーケティング活動の内容、施設の承認が必要な事項など。
- テナント間の競争を避け、公平な商業活動を促進するために設定される。
3.リファレンスマニュアル
- 意味: 業務の進行方法や基準を統一的に示すガイドラインやマニュアル。
- 内容:
- 業務手順や技術的な情報、施設の運営方法、緊急時の対応方法などをまとめたもの。
- 施設運営スタッフやテナントに対して、どのように業務を進めるか、問題が発生した場合にどう対処するかの指針を提供。
4.テナント会会則(てなんとかいかいそく)
- 意味: SC内のテナントが共同で運営するためのルールや指針を定めた規則。
- 内容:
- テナント間の協力関係を築くための基本的なルール(例:イベントへの参加、売上報告の方法、共同のマーケティング活動)。
- 会議の開催頻度、決議方法、費用分担のルールなども記載される。
5.営業管理規則(えいぎょうかんりきそく)
- 意味: テナントや店舗の営業運営に関して定められた管理ルールや運営規則。
- 内容:
- 営業時間、営業日、営業中のルール(例えば、店内音楽、陳列のルールなど)。
- 保守管理や衛生、売場整理に関する基準。
- トラブル対応や苦情処理の方法が記載され、円滑な施設運営が求められる。
テナントの内装設備工事
28 テナントの内装設備工事に伴う仮設物、電気・水道の供給、工事現場の入退場ならびに全体警備等 の諸費用など、テナントが安全かつ工程通りに内装設備工事が行えるよう、契約面積等を基準とし てテナントに応分の負担をもとめるものを 28 という。
語群 28 1.内装監理費 2.内装共通工事費 3. 内装協力金 4.現場管理費 5.現場工事費
1.内装監理費(ないそうかんりひ)
- 意味: 内装工事の監理や品質管理を行うために必要な費用。設計士や監理担当者が、内装工事が設計通りに進行しているかを確認・監督するために発生する費用です。
- 内容:
- 内装工事の進捗管理や工事品質の確認。
- 工事の仕様に基づき、設計との整合性を保つために行われる作業に対する報酬や手数料。
- 監理者が現場に出向くための交通費や事務作業費用も含まれる。
2.内装共通工事費(ないそうきょうつうこうじひ)
- 意味: 商業施設全体で共有される内装の共通部分にかかる工事費。テナント専用の部分ではなく、共用部分や施設の基本的な内装に必要な工事費用です。
- 内容:
- 共用部分の壁、天井、床の仕上げ。
- 施設全体に共通する電気配線や照明、空調設備などの工事費用。
- 複数のテナントが利用する共有スペース(通路やエントランスなど)の内装工事。
3.内装協力金(ないそうきょうりょくきん)
- 意味: テナントが内装工事を行う際に、施設オーナーやデベロッパーから支給される金銭的援助。テナントが内装工事を行うために必要な費用を補助するために支払われます。
- 内容:
- テナントが施設内で営業を開始するための初期投資を支援するために、デベロッパーやオーナーが提供する金銭。
- 内装費用の一部として支払われることが多く、契約の一部として交渉される場合が多い。
- 協力金の額や支給条件はテナントとの契約による。
4.現場管理費(げんばかんりひ)
- 意味: 現場で行われる建設工事の管理にかかる費用。施工管理や進行状況の確認、品質・安全の確保を行うために必要な費用です。
- 内容:
- 工事現場の進捗管理や労働者の労務管理。
- 建設資材や設備の管理、安全対策の実施。
- 施工管理者の人件費や管理作業にかかるコスト。
5.現場工事費(げんばこうじひ)
- 意味: 実際に工事を行うために必要な費用。建設工事そのものにかかる材料費、労務費、設備費などを含みます。
- 内容:
- 建設現場での作業員の労務費や資材費。
- 工事に使用する機械や工具、設備のレンタル・購入費。
- 工事を実施するために必要な運搬費用や現場設営にかかる費用。
リーシング
29 リーシングにおいて留意すべき下記項目のうち誤っているのは 29 である。 ア.ゾーニング、業種業態の配置、店舗レイアウトは原則として変更しないがテナント区画の面積 調整は柔軟に対応する。 イ.テナント機能は意識的にバランスよく配置する。 ウ.ナショナルチェーンとローカルチェーン、地元専門店の構成比率表を作成する。 エ.各フロアのゾーン毎のリーシング順は最後に面積調整がしやすいよう端から順に決定する。 オ.固定賃料と売上変動賃料の割合や敷金についてはテナントの資金状況を踏まえ、柔軟に対応す る。
語群 29 1.ア 2.イ 3.ウ 4.エ 5.オ
ア.ゾーニング、業種業態の配置、店舗レイアウトは原則として変更しないがテナント区画の面積調整は柔軟に対応する。
→ 適切です。ゾーニングや基本構成は大きく変えないのが原則ですが、実際のテナント事情に応じて面積の調整は柔軟に行われます。
イ.テナント機能は意識的にバランスよく配置する。
→ 適切です。飲食、物販、サービスなどが偏らないよう、バランスよく構成するのが基本です。
ウ.ナショナルチェーンとローカルチェーン、地元専門店の構成比率表を作成する。
→ 適切です。テナントミックスの戦略立案やバランスを確認するうえで、構成比率の把握は重要です。
エ.各フロアのゾーン毎のリーシング順は最後に面積調整がしやすいよう端から順に決定する。
→ 誤りです。
リーシング順は「集客の核(キーテナント)」から中心的に進めていくのが基本であり、「端から順に」という方針は非効率的で、戦略的でもありません。
オ.固定賃料と売上変動賃料の割合や敷金についてはテナントの資金状況を踏まえ、柔軟に対応する。
→ 適切です。特に新規出店や資金的に厳しい店舗には、初期費用の軽減策などを講じる場合があります。
正解:
29 → 4.エ
契約に関する事項
30 テナントリーシングに必要なテナント募集要項では契約に関する事項として賃貸借物件の表示、使 用目的、 30 、賃料、敷金、諸経費の負担等を明示する。また工事に関する事項や営業に関る 事項も記載する。
語群 30 1.契約期間 2.中途解約条項 3.原状回復義務 4.禁止事項 5.解除条項
テナント募集要項では、以下のような項目が通常明記されます:
- 賃貸借物件の表示
- 使用目的
- 契約期間
- 賃料
- 敷金
- 諸経費の負担
- その他工事や営業に関する事項
したがって、文脈的に最も適切な語句は:
✅ 1.契約期間
テナント別売上と設定条件
【第7問】〈配点 10 点〉 (解答番号は 31 から 35 ) 下記の表はあるSCの 1 フロアにおける月間テナント別売上と設定条件である。この表の条件をもとに、下記 の設問について、それぞれの語群より最も適切なものを選びなさい。
月間の収入合計(賃料+共益費)
31 現状での月間の収入合計(賃料+共益費)を求めなさい。
語群 31 1.10,090 千円 2.11,140 千円 3.11,290 千円 4.11,310 千円 5.11,715 千円
🔢 ステップ1:最低月売上による 賃料の計算
- 最低保証売上ベースの月売上額
= 面積(坪)× 最低保証月坪売上(千円) - 実際の月商と比較して大きい方を使う
- 賃料
= 採用した売上 × 歩率(%) - 共益費
= 面積 × 月坪共益費
✅ 各テナントの計算
■ Aテナント
- 面積:1,000坪
- 最低保証売上:1,000 × 150 = 150,000千円
- 実月商:150,000 → 採用:150,000
- 歩率:4% → 150,000 × 0.04 = 6,000
- 共益費:1,000 × 0 = 0
➡️ 合計:6,000 + 0 = 6,000
■ Bテナント
- 面積:200坪
- 最低保証売上:200 × 80 = 16,000
- 実月商:20,000 → 採用:20,000
- 歩率:10% → 20,000 × 0.10 = 2,000
- 共益費:200 × 2 = 400
➡️ 合計:2,000 + 400 = 2,400
■ Cテナント
- 面積:100坪
- 最低保証売上:100 × 100 = 10,000
- 実月商:10,000 → 採用:10,000
- 歩率:8% → 10,000 × 0.08 = 800
- 共益費:100 × 5 = 500
➡️ 合計:800 + 500 = 1,300
■ Dテナント
- 面積:50坪
- 最低保証売上:50 × 150 = 7,500
- 実月商:6,000 → 採用:7,500
- 歩率:10% → 7,500 × 0.10 = 750
- 共益費:50 × 5 = 250
➡️ 合計:750 + 250 = 1,000
■ Eテナント
- 面積:10坪
- 最低保証売上:10 × 200 = 2,000
- 実月商:4,500 → 採用:4,500
- 歩率:12% → 4,500 × 0.12 = 540
- 共益費:10 × 5 = 50
➡️ 合計:540 + 50 = 590
🔚 最終合計(収入合計)
- A:6,000
- B:2,400
- C:1,300
- D:1,000
- E:590
合計:6,000 + 2,400 + 1,300 + 1,000 + 590 = 11,290 千円
✅ 答え:3.11,290 千円
売上高対賃料比率(共益費を含む)
32 最も売上高対賃料比率(共益費を含む)の高いテナントの負担率に近い値を選びなさい。
語群 32 1.12.0% 2.13.0% 3.13.1% 4.14.2% 5.16.7%
✅ 売上高対賃料比率(共益費含む)を計算
計算式
> 売上高対賃料比率(%) = (賃料+共益費) ÷ 実売上 × 100
■ Aテナント
6,000 ÷ 150,000 × 100 = 4.0%
■ Bテナント
2,400 ÷ 20,000 × 100 = 12.0%
■ Cテナント
1,300 ÷ 10,000 × 100 = 13.0%
■ Dテナント
1,000 ÷ 6,000 × 100 ≈ 16.67%
■ Eテナント
590 ÷ 4,500 × 100 ≈ 13.11%
✅ 最も高い比率は?
Dテナント:16.67%
✅ 答え:5.16.7%
想定年間売上
33 最低保証をベースとしたこのフロアの想定年間売上を求めなさい。
語群 33 1.185,500 千円 2.2,208,000 千円 3.2,226,000 千円 4.2,286,000 千円 5.2,304,000 千円
🔢 与えられた情報(最低保証月坪売上 × 面積 × 12ヶ月)
テナント | 面積(坪) | 最低保証月坪売上(千円) | 計算式 | 年間売上(千円) |
A | 1,000 | 150 | 1,000 × 150 × 12 | 1,800,000 |
B | 200 | 80 | 200 × 80 × 12 | 192,000 |
C | 100 | 100 | 100 × 100 × 12 | 120,000 |
D | 50 | 150 | 50 × 150 × 12 | 90,000 |
E | 10 | 200 | 10 × 200 × 12 | 24,000 |
✅ 合計:
1,800,000 + 192,000 + 120,000 + 90,000 + 24,000 = 2,226,000 千円
✅ 答え:3.2,226,000 千円
月間の収入合計
34 リニューアルによって各テナントの売上が 10%増加した。このときの月間の収入合計に近い値を求 めなさい。 語群 34 1.12,134 千円 2.12,159 千円 3.12,224 千円 4.12,249 千円 5.12,441 千円
🔧 条件まとめ:
- 各テナントの売上は 現状月商 × 1.1(10%増)
- 最低保証売上 = 面積 × 最低保証月坪売上
- ①と②の 大きいほう を使って賃料(=売上 × 歩率)を計算
- 月間収入 = 賃料 + 共益費
▶️ 各テナントの計算
Aテナント:
- 売上10%増:150,000 × 1.1 = 165,000
- 最低保証:1,000 × 150 = 150,000 → 使用売上 = 165,000
- 賃料:165,000 × 0.04 = 6,600
- 共益費:1,000 × 0 = 0
- 合計:6,600
Bテナント:
- 売上10%増:20,000 × 1.1 = 22,000
- 最低保証:200 × 80 = 16,000 → 使用売上 = 22,000
- 賃料:22,000 × 0.10 = 2,200
- 共益費:200 × 2 = 400
- 合計:2,600
Cテナント:
- 売上10%増:10,000 × 1.1 = 11,000
- 最低保証:100 × 100 = 10,000 → 使用売上 = 11,000
- 賃料:11,000 × 0.08 = 880
- 共益費:100 × 5 = 500
- 合計:1,380
Dテナント:
- 売上10%増:6,000 × 1.1 = 6,600
- 最低保証:50 × 150 = 7,500 → 使用売上 = 7,500
- 賃料:7,500 × 0.10 = 750
- 共益費:50 × 5 = 250
- 合計:1,000
Eテナント:
- 売上10%増:4,500 × 1.1 = 4,950
- 最低保証:10 × 200 = 2,000 → 使用売上 = 4,950
- 賃料:4,950 × 0.12 = 594
- 共益費:10 × 5 = 50
- 合計:644
✅ 月間収入合計:
6,600(A)+ 2,600(B)+ 1,380(C)+ 1,000(D)+ 644(E)
= 12,224 千円
✅ 答え:3.12,224 千円
月間の収入
35 最低保証に満たないテナントを入れ替え、同条件で賃貸したところ売上が表の 1.5 倍になった。 このテナントの月間の収入を求めなさい。
語群 35 1.1,150 千円 2.1,155 千円 3.1,375 千円 4.1,380 千円 5.1,500 千円
🔍 問題の条件まとめ:
- 対象は「最低保証に満たないテナント」
- 表から該当するのは Bテナント(20,000 < 200×80 = 16,000 → クリア)
→ Cテナント(10,000 < 100×100 = 10,000 → 同値)
→ Dテナント(6,000 < 50×150 = 7,500)✅該当!
→ Eテナント(4,500 < 10×200 = 2,000 → クリア)
→ 最低保証に満たなかったのは Dテナント(対象)
✅ 新条件:
- Dテナントを入れ替え、新しいテナントの 売上が表の1.5倍
- Dの元の売上は:6,000 千円
- 新テナントの売上:6,000 × 1.5 = 9,000 千円
- 歩率:10%
- 共益費:50 × 5 = 250
💰 月間収入計算:
- 賃料:9,000 × 0.10 = 900 千円
- 共益費:250 千円
- 合計:900 + 250 = 1,150 千円
✅ 答え:1.1,150 千円
開業準備
【第8問】〈配点 10 点〉 (解答番号は 36 から 40 ) 次の開業準備に関する記述を読み、それぞれの文中の空欄に最も適切な語句を下記の語群から選び、その番号をマークしなさい。
テナント会設立の総会
36 通常、開業前にテナント会設立の総会を開催する。設立総会では会長、役員、 36 、予算等 の承認を受け、テナント会を発足する。
語群 36 1.営業時間 2.休日日数 3.売上計画 4.会則 5.会費
36の空欄に入る最も適切な語句は 4.会則 です。
理由: 設立総会では、テナント会の運営に関わる基本的なルールや規定を定めるため、「会則」の承認が必要です。「営業時間」や「休日日数」などは運営面で重要ですが、設立総会で必ず承認されるべきものとしては「会則」が最も適切です。
お客様の安全確保
37 開業前にはお客様の安全確保のために全テナントが参加する避難訓練を実施する必要がある。所轄 の消防署に提出した消防計画に基づき 37 を設定し実地で避難訓練を実施する。
語群 37 1.自衛消防隊長 2.避難誘導経路 3.火災現場 4.初期消火班 5.防火管理者
自衛消防隊長: 自衛消防隊長は、施設内で発生した火災などの緊急事態に対応するための組織である自衛消防隊のリーダーです。自衛消防隊長は、火災が発生した際に初期消火活動を指揮したり、避難誘導を行ったりする役割を担います。
避難誘導経路: 避難誘導経路は、火災や地震などの緊急時に施設内の人々が安全に避難できるように設定された経路のことです。経路は、出口までの安全で確実な道筋を示し、避難を迅速かつ効果的に行うために重要です。
火災現場: 火災現場は、火災が実際に発生している場所を指します。消防活動が行われている現場で、火元やその周辺が含まれます。火災現場では、消火活動や避難誘導が行われ、二次災害を防ぐための対応が重要です。
初期消火班: 初期消火班は、火災が発生した際に最初に消火活動を行うためのチームです。通常、施設内における火災の初期段階で火元を消火することを目的としており、消火器や消火栓などの消火設備を使って火を抑え込む役割を担います。
防火管理者: 防火管理者は、施設内の防火に関する管理業務を担当する人物です。施設の防火計画の作成や、防火設備の管理、消防訓練の実施などを行い、施設の火災予防や火災発生時の適切な対応を確実にするための責任を負います。
開業前の初期搬入
38 開業前の初期搬入は調整を怠ると、搬入口周辺の道路が搬入待ちの車両で混雑したり、夜遅くまで 屋外で搬入作業をすることになり、周辺への騒音問題等が発生してしまうおそれがある。こういった問題を解決するひとつの方法として、物流業者 1 社を 38 として委託することがある。
語群 38 1.統括管理業者 2.マネジメント委託業社 3.責任帰属業者 4.特定許可業者 5.指定業者
統括管理業者: 統括管理業者は、施設全体やプロジェクトの運営・管理を一元的に担当する業者です。複数の業務を調整し、施設やプロジェクトが円滑に運営されるように監督・管理します。これには、テナント管理、建物のメンテナンス、セキュリティなどが含まれます。
マネジメント委託業者: マネジメント委託業者は、特定の業務や施設管理を外部の専門業者に委託する場合に使われる業者です。業務管理、運営、収益管理などを専門的に担当し、委託者の代わりに業務を進めます。
責任帰属業者: 責任帰属業者は、契約や業務の中で生じる責任を負う業者のことを指します。特定の業務に関して法的責任や品質保証を担い、問題が発生した場合にはその解決責任を持つ業者です。
特定許可業者: 特定許可業者は、法律に基づき特別な許可を得て業務を行っている業者です。たとえば、特定の建設工事や運輸業務、医療行為などの分野で、政府から認可を受けて業務を行う必要があります。
指定業者: 指定業者は、特定の契約や条件に基づき指定された業者のことです。例えば、特定の施設や業務に関して契約先として指定された業者で、その業務に関して他の業者を選ぶことができない場合があります。
開業直前
39 開業直前にはSC開発に携わった関係者やテナントオーナー、地元関係者等、お世話になった方や これからお世話になる方等を招待した式典を開催し、式典終了後には 39 を実施する。 39 には式典参加者のほか、テナントが顧客等を招待し、その後、ハウスカード事前入会者な どを招いたプレオープンを実施することもある。
語群 39 1.展覧会 2.内覧会 3.懇親会 4.お祝い 5.記者会見
展覧会: 展覧会は、芸術作品や商品、資料などを展示して一般の人々に公開するイベントです。美術館やギャラリーでのアート展示、企業の製品展示など、さまざまな目的で開催されます。目的は、観客に新たな情報や感動を提供することです。
内覧会: 内覧会は、特定の施設や物件が完成した際に、関係者や招待客に向けて内部を公開するイベントです。一般公開に先立って行われることが多く、建物や新商品を関係者に見せるために開催されます。特に、企業の新オフィスや住宅、商業施設などで行われます。
懇親会: 懇親会は、特定のグループや団体のメンバーが集まり、親睦を深めるために開かれるイベントです。ビジネスの場や学校の同窓会、コミュニティイベントなどでよく開催されます。参加者同士がリラックスして交流し、関係を築くことが目的です。
お祝い: お祝いは、特別な出来事や成就を祝う行為やイベントです。誕生日、結婚式、昇進、開店、記念日など、さまざまな状況で行われます。お祝いには、パーティーや贈り物、祝辞などが含まれます。
記者会見: 記者会見は、企業、団体、または個人がメディアの記者を集めて行う公式な会見です。重要な発表や声明を行うために開催され、記者は質問を通じてさらに情報を得ることができます。政治家、企業経営者、著名人などが主催することが多いです。
開業日
40 開業日や開業日後の週末は非常に多くの来館者が見込まれる。開業日から一定の期間を 40 期間と設定し、万全の安全対策を講じる必要がある。駐車場や周辺道路の混雑対策はもちろん、館 内の顧客の滞留や各種問合せ対応等、事前予測し準備をしておく。
語群 40 1.開業警備 2.スタッフ倍増 3.オープニングセール 4.テナント審査 5.会員増強
- 開業警備(かいぎょうけいび)
商業施設などが新たに開業する際に行う、特別な警備体制のことです。多くの来客が見込まれるため、通常よりも多くの警備員を配置して、混雑や事故、トラブルの防止、安全確保を図ります。 - スタッフ倍増(すたっふばいぞう)
開業時やセールなどの繁忙期に対応するため、一時的に従業員数を通常の倍に増員することです。接客やレジ対応、案内、清掃など各業務のスムーズな運営を目的としています。
- オープニングセール
新店舗や施設の開業に合わせて実施される特別なセールです。割引や特典を提供することで、集客と認知度の向上、初期の売上確保を狙います。開業時の定番イベントのひとつです。
- テナント審査(てなんとしんさ)
商業施設への出店希望者に対して行う審査のことです。経営状況や業種・業態の適合性、ブランド力、施設全体とのバランスなどを確認し、出店の可否を判断します。施設の魅力や収益性を維持するために重要です。
- 会員増強(かいいんぞうきょう)
会員制のサービス(ポイントカード、メンバーズクラブなど)において、新規会員の獲得を促進する取り組みです。キャンペーンや特典の提供などを通じて、会員数を増やし、リピーターや売上の向上を目指します。
まとめ
SC経営士の試験に教科書はありません。過去問はすべての受験生が勉強していますので、落とさないようにしてください。
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