SC経営士試験2024SC開発問題と解答【第1~4問】
解答1から20まで、問題、解答はSC協会のHPから作成しています。問題の最後に用語の意味も記載しています。略語にはいくつかの意味がありますので、ご自分でも調べてください。
https://www.jcsc.or.jp/management/qanda.html
開発は計算問題が多いので、通信教育で免除されることをお勧めします。計算は時間がかかりますので、受験する場合は文章問題が済んでから最後に解答するのが良いと思います。
AIによる解説も入れていますが、参考程度にご利用ください。
SC総論
【第1問】〈配点 10 点〉 (解答番号は 1 から 5 ) 次のSC総論に関する記述を読み、それぞれ文中の空欄に最も適切なものを下記語群から選びなさい。
SCの定義
1 SCの定義は「一つの単位として計画、開発、所有、管理運営される商業・サービス施設の集合体 で、駐車場を備えるものをいう。その立地、規模、構成に応じて、選択の多様性、利便性、快適性、 娯楽性等を提供するなど、生活者ニーズに応えるコミュニ ティ施設として都市機能の一翼を担う ものである。」とされ、規模や構成の基準として以下の要件を満たすものとされている。
1)小売業の店舗面積は、1,500 ㎡以上であること。
2)キーテナントを除くテナントが 10 店舗以上含まれていること。
3)キーテナントがある場合、その面積がSC面積の 1 程度を超えないこと。但し、その 他テナントのうち小売業の店舗面積が 1,500 ㎡以上である場合には、この限りではない。
4)テナント会等があり、広告宣伝、共同催事等の共同活動を行っていること。
語群 1 1.50% 2.60% 3.70% 4.80% 5.90%
SCの社会的な役割
2 SCの社会的な役割は消費の場の提供、地域経済の要、生活拠点などであるが、地域の消費生活に おいて大きな影響を持っている。SC協会の定める「ショッピングセンターの地域貢献ガイドライ ン」には以下のポイントが示されている。
① 商品やサービスの提供を通した、暮らしの総合的サポート
② さまざまな人々が「集う」「交わる」「活動する」場の提供
③ 地域環境との共生、安全性・快適性の維持・管理
④ 地域経済および地域商業の健全な発展への寄与
⑤ 地域住民への働く場の提供と雇用の創出
⑥ 地域の「 2 」への協力と貢献
⑦ 撤退時への対応
語群 2 1.まちおこし 2.まちづくり 3.コミュニティ 4.イベント 5.課題解決
SCは不動産賃貸業
3 SCは小売業や飲食業など商業テナントと密接に関連しながら行う不動産賃貸業であり、住宅やオ フィスと異なり地域生活者のニーズをとらえて魅力的なテナントを誘致し、売上に結び付ける必要 がある。よって、SCディベロッパーに求められるノウハウと資質としては、立地選定や用地確保、 建物建設の不動産開発力、商圏や立地環境を分析するマーケティング力、多数のテナントがシナジ ー効果をもたらすように集積させる 3 力が必要となる。
語群 3 1.集中 2.マーチャンダイジング 3.コーディネート 4.リーシング 5.選定
マーチャンダイジング(Merchandising)
マーチャンダイジングは、商品を適切に管理、展示、販売する活動を指します。これには商品の選定、価格設定、在庫管理、プロモーション、商品陳列方法などが含まれ、消費者に対して効果的に商品を提供するための戦略的な手法です。小売業では、消費者の購買意欲を引き出すために非常に重要な要素です。
コーディネート(Coordinate)
コーディネートは、複数の要素を調和させるための調整や組み合わせを指します。ファッション業界では、服やアクセサリーを組み合わせて一貫性のあるスタイルを作ることを指しますが、店舗やディスプレイの設計などでも、色、形、商品をバランスよく配置し、魅力的に見せるための技術が求められます。
リーシング(Leasing)
リーシングとは、不動産や商業施設などの賃貸契約を指します。特にショッピングセンターやオフィスビルの分野では、テナントに対して空間を賃貸する契約を結ぶ活動を意味します。リーシング担当者は、テナントとの契約交渉を行い、適切なテナントの誘致や賃貸条件の設定を行う役割を担います。
SCの年間開業数
4 2001 年以降、SCの年間開業数は増加傾向にあったが、これは大規模小売店舗立地法により開発 要件が明確にされた届出制となったことが影響している。一方で、リーマンショックや東日本大震 災など、経済や社会の影響によっても変化が見られる。ECの台頭や人手不足、ニーズの変化など もあり、 4 の 89 施設をピークに開発数は減少傾向となっている。
語群 4 1.2007 年 2.2010 年 3.2016 年 4.2018 年 5.2020 年
SCの類型
5 SCの類型はICSCによれば、RSCやNSCなど規模による分類以外に、主に米国中心に、オ ープンモールで大型専門店を核として環境に配慮した地域生活者のコミュニティの中心的役割を 担う「ライフスタイルセンター」という形があり、日本でも同じような施設が登場している。また、 この「ライフスタイルセンター」より街としての複合機能を有しウォーカブル(遊歩型)で開放感 のある「 5 」という形式もある。
語群 5 1.ソリューションセンター 2.マネジメントセンター 3.ライフスタイルモール 4.アミューズメントパーク 5.タウンセンター
ソリューションセンター(Solution Center)
ソリューションセンターは、顧客の課題を解決するための専門的なサービスや製品を提供する施設です。例えば、IT企業のソリューションセンターでは、企業や顧客が直面する技術的な問題や業務改善のための支援を行う場所です。また、複数のビジネス分野においても、顧客のニーズに合わせた製品やサービスを提案し、提供する中心的な場所を指すこともあります。
マネジメントセンター(Management Center)
マネジメントセンターは、施設やプロジェクト、ビジネス運営の管理・監視を行う中心的な場所です。例えば、大規模なショッピングセンターやオフィスビルでは、運営管理、テナント管理、イベント運営などを効率的に行うために設けられる拠点です。ここでは、施設の全体的なパフォーマンスを監視し、改善を図る役割があります。
ライフスタイルモール(Lifestyle Mall)
ライフスタイルモールは、買い物だけでなく、食事、エンターテイメント、文化体験など、生活全般に関連する多様な施設を提供するショッピングモールです。消費者に対して、単なるショッピングの場を超えた、より豊かなライフスタイルを提案することを目的としています。このようなモールでは、カフェ、レストラン、ジム、アートギャラリー、映画館などが組み合わされていることが多いです。
アミューズメントパーク(Amusement Park)
アミューズメントパークは、エンターテイメントや遊びを提供する施設で、遊園地やテーマパークなどがこれに該当します。ジェットコースターや観覧車、ゲームセンター、ショーなど、さまざまなアトラクションが揃っており、家族連れやグループ向けに楽しみを提供します。ディズニーランドやユニバーサルスタジオが代表的なアミューズメントパークです。
タウンセンター(Town Center)
タウンセンターは、地域社会の中心となる商業施設や広場、公共空間を指します。ショッピングモールやレストラン、オフィス、公共施設が集まり、地域住民や訪問者が集う場所です。都市計画の一環として設けられることが多く、コミュニティ活動や地元経済を支える重要な役割を担っています。
商圏調査・用地確保
【第2問】〈配点 10 点〉 (解答番号は 6 から 10 ) 次の商圏調査・用地確保に関する記述を読み、それぞれ文中の空欄に最も適切なものを下記語群から選びなさい。
SCの商圏を調べる
6 SCの商圏を調べる上で、既存施設の場合は来店客調査やカード会員分析などにより実質的な商圏 範囲を把握することができる。現在ではスマートフォンの位置情報サービスを活用して、来訪者の 居住地分析なども行うことができるようになり、既存施設や開発地周辺への現在の来訪者商圏確認 なども行える。 6 は、開業後に実際の商圏を検証する際に重要となる。
語群 6 1.距離圏別商圏 2.任意商圏 3.1次商圏 4.設定商圏 5.実勢商圏
1.距離圏別商圏
- 商業施設を中心に、一定の距離ごとに区切ったエリアで商圏を分析する方法です。
- 例えば、「施設から半径1km以内」「3km圏内」など、物理的な距離を基準に設定されます。
- 自動車社会や都市部の施設で使われることが多いです。
2.任意商圏
- 特定の基準にとらわれず、施設運営者や調査者が独自に設定した商圏です。
- 例えば「高速道路の出口から10分圏内」「観光客が多く立ち寄るルート沿い」など、地形・交通・需要に応じて柔軟に設定されます。
3.1次商圏
- 商業施設に最も近く、来店頻度・購買額ともに最も高い顧客層が住むエリアです。
- 売上の大部分を支えるコアな商圏であり、広告や販促でも重点を置かれるエリアです。
4.設定商圏
- 施設の開発やマーケティング戦略上、計画的に決めた商圏です。
- 来店の可能性が高いエリアを想定して、販促範囲や店舗展開の指標とされます。
- 通常は1次、2次、3次商圏などと段階的に設定されます。
5.実勢商圏
- 実際の来店者のデータ(住所など)を元に把握した、実際に利用されている商圏です。
- POSデータやアンケート、会員登録情報などから分析され、設定商圏とのズレを確認するのに役立ちます。
商圏内の居住者がどのような生活スタイルなのか
7 商圏内の居住者がどのような生活スタイルなのかを推測することは重要である。子育て世帯が多い のか、高齢者世帯が多いのか、自動車を持っている世帯が多いのか、所得水準はどうかなどを把握 する。そのような商圏特性によって顧客が求めるものが異なりSCで必要な対応も変わる。例えば、 高齢者の多いエリアでは 7 業態の消費支出が低下する傾向がある。
語群 7 1.食品 2.サービス 3.買い回り型 4.広域商圏型 5.日常業態型
1.食品
- 主にスーパーマーケットなどで扱われる食料品全般を指します。
- 生鮮(野菜・肉・魚)や加工食品、惣菜、飲料などが含まれ、集客の核となる業態として位置付けられることが多いです。
- 来店頻度が高く、「日常業態型」の中核となるカテゴリです。
2.サービス
- 販売ではなく、体験や利便性を提供する業態全般を指します。
- 例:美容室、ネイルサロン、保険相談、クリーニング、修理、アミューズメントなど。
- 顧客接点の増加や滞在時間の向上、来館動機づくりに重要です。
3.買い回り型
- 価格やデザイン、ブランドなどを比較しながら、複数の店舗を見てから購入される商品のカテゴリーを指します。
- 例:衣料品、靴、家具、家電、雑貨など。
- 一般に高単価・低頻度で、目的性が強く、広告やVMDの影響も受けやすいです。
4.広域商圏型
- 交通アクセスの利便性や専門性を活かして、広いエリア(30分〜1時間以上圏内)から集客する施設の業態。
- 例:アウトレットモール、大型ショッピングモール、地域の旗艦店など。
- 集客の鍵は駐車場の充実・イベント・差別化された店舗構成など。
5.日常業態型
- 地域住民の日常生活に密着した業態。来店頻度が高く、安定的な集客が見込めます。
- 例:スーパーマーケット、ドラッグストア、100円ショップ、クリーニング、食品テナントなど。
- 生活利便性の提供が重視され、地域密着型のSCで中核を担うことが多いです。
郊外型SC開発における商圏調査
8 売上予測にはいくつかの方法があるが、郊外型SC開発における商圏調査の段階では 「商圏人口(世帯数)×一人当たり消費支出(1 世帯消費額)」で算出される商圏内の総消費額に 対しての 8 によって計算するのが一般的である。
語群 8 1.調査 2.分析 3.積み上げ 4.シェア率 5.魅力度
✅ 計算式①:商圏売上シェアを出す
売上高 ÷ 商圏総消費額 × 100 = シェア率(%)
例:
- 自店舗の売上高:10億円
- 商圏内の総消費額:50億円
👉
10億 ÷ 50億 × 100 = 20%のシェア
✅ 計算式②:目標売上を決める場合(シェア率から売上を出す)
商圏総消費額 × 想定シェア率(%) = 売上高
例:
- 商圏の総消費額:60億円
- 想定シェア率:15%
👉
60億 × 0.15 = 9億円の売上を目指す
🔸 シェアの目安
- 10~20%:地元密着型の店舗に多い現実的な目標
- 30%以上:競合が少なく、圧倒的な存在感がある店舗
- 5%未満:新規参入や競争の激しい地域でのスタート時の数字
登記簿
9 下記の登記簿に関する記述のうち誤っているのは 9 である。
ア.表題部には所有者名と地番、地積、地目が記載されている
イ.甲区欄には所有者が取得した年月日、取得原因が記載されている
ウ.乙区欄には抵当権等の権利関係が記載されている
エ.登記簿に記載されている所有者や面積は正しいとは限らない
オ.登記簿は地方法務局のほか「登記情報提供サービス」で閲覧することができる
語群 9 1.ア 2.イ 3.ウ 4.エ 5.オ
🏢 登記簿の記載事項とは?
不動産(土地や建物)の所有者や権利関係などを公的に記録したものが「登記簿(不動産登記簿)」です。現在は電子化されており、「登記事項証明書」として取得できます。
📚 登記簿の構成(3つの主な区分)
区分 | 内容 |
表題部 | 不動産の物理的な情報を記載(例:所在地、地番、地目、地積、構造、床面積など) |
甲区(こうく) | 所有権に関する事項(例:所有者の氏名・住所、所有権移転の原因や日付) |
乙区(おつく) | 所有権以外の権利(例:抵当権、地役権、賃借権などの登記) |
📝 主な記載例
- 表題部:
- 所在:東京都〇〇区〇〇町〇丁目〇番〇
- 地目:宅地
- 地積:120.50㎡
- 建物構造:鉄筋コンクリート造3階建
- 甲区:
- 所有者:山田太郎(住所も記載)
- 登記原因:売買・相続など
- 登記日付:令和○年○月○日
- 乙区:
- 抵当権:○○銀行による融資(債権額、債務者、設定日など)
- 賃借権:借主・契約期間など
都市計画法
10 都市計画法では都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域に区分し、市街化区域では用途地域が 定められている。郊外型の中型SCで 10,000 ㎡を超えるものは商業系の用途地域のほか 10 で建設することができる。但し、中心市街地活性化計画が定められた市町村では制限され る。
語群 10 1.第二種住居地域 2.準住居地域 3.田園住居地域 4.準工業地域 5.工業地域
※詳細については、確認が必要です
1.第二種住居地域
用途地域のひとつで、住宅と一定の商業施設が共存可能な地域。
- 映画館・飲食店・中規模の店舗などが立地可能。
- ショッピングセンターは店舗面積10,000㎡以下なら建設可能。
- 10,000㎡を超える場合は制限があるため、注意が必要。
2.準住居地域
幹線道路沿いなどに設定され、自動車関連施設や店舗が認められやすい地域。
- 自動車ショールームやガソリンスタンド、ロードサイド型店舗などが多い。
- 大規模SC(10,000㎡超)も建設可能で、郊外型SCに適した地域のひとつ。
3.田園住居地域
農地と低層住宅が共存する地域で、都市農業の振興が目的。
- 商業施設の立地はかなり制限されている。
- **SCの建設は基本的に困難。**例外的に小規模な直売所程度まで。
4.準工業地域
軽工業やサービス業などが集積し、住居も一定程度許容される地域。
- 飲食店や中~大規模の店舗も立地可能。
- 10,000㎡を超えるSCの建設も可能で、郊外型SC向き。
5.工業地域
工場などの立地を主とする地域で、住宅は不可。
- 飲食店や物販店舗の建設は原則不可。
- **SCの建設も不可。**用途制限が厳しいため、候補地には不向き。
🏁まとめ(SC建設の可否)
用途地域名 | SC(10,000㎡超)建設可否 | 備考 |
第二種住居地域 | △ 制限あり | 中小規模なら可 |
準住居地域 | ◎ 建設可能 | ロードサイドに適す |
田園住居地域 | × 不可 | 農業・住宅優先 |
準工業地域 | ◎ 建設可能 | 郊外型に適している |
工業地域 | × 不可 | 店舗系用途は不可 |
SC開発の基本計画段階
【第3問】〈配点 10 点〉 (解答番号は 11 から 15 ) 次のSC開発の基本計画段階における記述を読み、それぞれ文中の空欄に最も適切なものを下記語群から選び なさい。
SCの基本コンセプト
11 SCの基本コンセプトとは開発段階でプロジェクトメンバーが常に立ち返る原点・原則であり、 「誰に」「何を」「どのように」という要素を含みSCのあり方を簡潔に表現する必要がある。基本 コンセプトの検討には様々なフレームワークを用いて分析、検討するが、一例で想定する商圏内の 顧客層を分類し、訴求する顧客層や価値から自店のポジショニングを分析する手法が 11 分 析である。
語群 11 1.PEST 2.3C 3.SWOT 4.STP 5.4P
1.PEST(ペスト)
マクロ環境分析のフレームワーク。
外部環境の大きな流れを4つの視点から分析します。
- P(Politics)政治的要因:法律・政策・税制など
- E(Economy)経済的要因:景気・為替・物価など
- S(Society)社会的要因:人口構成・ライフスタイルなど
- T(Technology)技術的要因:IT化・技術革新など
例)キャッシュレス化や脱炭素社会もPESTの要素に入ります。
2.3C(スリーシー)
競争環境を分析するフレームワーク。
ビジネスに関わる3つの「C(シー)」を分析します。
- Customer(市場・顧客):誰に売るか、ニーズは?
- Company(自社):強み・弱み、ブランド力など
- Competitor(競合):他社とどう差別化するか
3.SWOT(スウォット)
自社の強み・弱みと、外部環境の機会・脅威を整理する手法。
- S(Strength)強み:ブランド、立地、商品力など
- W(Weakness)弱み:人手不足、コスト高など
- O(Opportunity)機会:市場の成長、制度の変化など
- T(Threat)脅威:競合の進出、法規制など
内部(SW)と外部(OT)を整理し、戦略立案に役立てます。
4.STP(エスティーピー)
ターゲット市場を明確にするための戦略フレームワーク。
- S(Segmentation)市場細分化:顧客を属性ごとに分ける
- T(Targeting)ターゲット選定:誰を狙うか決める
- P(Positioning)ポジショニング:どのような価値を訴えるか
例)若年層向けのカジュアルファッション専門店など。
5.4P(ヨンピー)
マーケティング・ミックスの基本。
商品・サービスをどう売るかの戦略を4つに分類します。
- Product(製品):何を売るか(品揃え・品質)
- Price(価格):いくらで売るか(価格帯・割引)
- Place(流通):どこで売るか(立地・EC)
- Promotion(販促):どう伝えるか(広告・イベント)
SCのテナントミックス(マーチャンダイジング)
12 SCのテナントミックス(マーチャンダイジング)を計画するには、2つの原則を考慮する必要が ある。一つは、いくつかの異なった業種の買い物や、さまざまなサービスの利用を利用者がある一 ヶ所ですませることができるとする「ワンストップショッピング」の原則。もう一つは、消費者が ある商品を購入するとき、複数のメーカーや店舗で価格やサービスを比べて購入できるとする 「 12 」の原則である。
語群 12 1.多様性 2.多品種 3.CI 4.SKU 5.比較購買
1.多様性(Diversity)
多様性とは、異なる背景や価値観、文化、経験などの違いを受け入れ、活かすことです。
ビジネスにおける多様性は、職場のダイバーシティ(人種、性別、年齢、国籍などの違い)や製品の多様性(さまざまな顧客ニーズに対応する商品ライン)を指すことが多いです。
- 例:ショッピングセンターに多様な店舗やサービスを提供すること。
2.多品種(Variety)
多品種は、商品の種類や品揃えの豊富さを指します。
多品種の商品を取り扱うことにより、消費者の多様なニーズを満たし、選択肢を提供します。小売業では、顧客がさまざまな選択肢の中から選ぶことができるため、競争力が高まります。
- 例:ファッション店が衣類、靴、アクセサリーを多品種で展開すること。
3.CI(Corporate Identity)
企業の「企業アイデンティティ」または「コーポレートアイデンティティ」です。
企業のブランド戦略や、企業の理念・価値観を一貫して外部に伝えるためのシンボル、ロゴ、カラー、デザイン、メッセージなどを統一的に管理・表現することです。
- 例:ショッピングセンターのロゴや店舗のデザインが統一されていること。
4.SKU(Stock Keeping Unit)
「在庫管理単位」として、商品を細かく分類するための単位です。
SKUは、商品を種類、色、サイズ、型番などの属性で識別し、在庫管理や販売を効率化するために使用されます。
- 例:同じTシャツでも色やサイズが異なる場合、それぞれが異なるSKUとして管理されます。
5.比較購買(Comparative Shopping)
複数の商品やブランドを比較して、最良の選択をする購買行動です。
消費者が価格や品質、特徴を比較し、最も価値のある商品を選ぶプロセスです。特にオンラインショッピングが普及した現在では、比較購買を行う消費者が増加しています。
- 例:消費者が複数のショッピングセンターやオンラインストアを比較して最もお得な商品を購入すること。
テナントミックス
13 テナントミックスの検討には、ディベロッパーからみたテナントに期待する役割やテナントに発揮 して欲しい機能を組み合わせながら最適なテナントミックスを構築する必要がある。期待する役割 と機能の分類としては以下の類型がある。 <テナントに期待する役割> ① 売上高が高いテナント(売上額) ② 顧客吸引力の高いテナント(集客力) ③ コンセプトを表現するテナント(ブランドイメージ) ④ 賃料を期待するテナント(収益力) <テナントの機能から見た分類> ① キーテナント:集客の中心となるテナント ② サブキーテナント:キーテナントの集客力を補完するテナント ③ 13 テナント:イメージを高め、顧客回遊性を高めるテナント ④ 一般テナント:キーテナントの補完や比較購買機能を持つテナント ⑤ 特殊テナント:来店顧客や地域住民へのサービス機能を担うテナント
語群 13 1.マグネット 2.サービス 3.キラー 4.マイクロ 5.イメージ
この文章に適切な言葉は「マグネットテナント」です。
理由として、「マグネットテナント」とは、顧客を引きつける力が強く、施設内での回遊を促進する役割を持つテナントを指します。これらのテナントは、施設のイメージを高め、顧客を引き寄せ、全体的な集客力を向上させるため、③の部分には「マグネットテナント」がぴったりです。
したがって、完成した文章は次のようになります: <テナントの機能から見た分類>
① キーテナント:集客の中心となるテナント
② サブキーテナント:キーテナントの集客力を補完するテナント
③ マグネットテナント:イメージを高め、顧客回遊性を高めるテナント
④ 一般テナント:キーテナントの補完や比較購買機能を持つテナント
⑤ 特殊テナント:来店顧客や地域住民へのサービス機能を担うテナント
SCの基本計画
14 SCの基本計画において、施設のボリュームや配置、構造、機能構成、環境設備の仕様などをフィ ジカルプランという。フィジカルプランの検討においては、回遊動線などの機能性や設置、メンテ ナンスにかかるコストなどの効率性を考慮する必要がある。加えて、事業収支においては建物の用 途や構造によって、附属設備なども法定耐用年数が定められており、フィジカルプランで想定した 仕様は一定期間で減価償却を見込む必要があり、事業収支に大きく影響する。構造が鉄骨鉄筋コン クリート造の店舗用途建物の法定耐用年数は 14 年とされている。
語群 14 1.72 2.55 3.39 4.25 5.20
- 建物(鉄筋コンクリート造、鉄骨造など)
- 鉄筋コンクリート造:47年
- 鉄骨造:34年
- 木造:22年
- エレベーター
- エレベーター:17年
- ※耐用年数はエレベーターの種類や使用状況により異なる場合があります。
- 空調設備、給排水設備、電気設備などの主要設備
- 空調設備、給排水設備、電気設備:15年
- ※これらの設備は、長期間の使用で劣化が進みやすいため、定期的な保守管理が求められます。
- 内装(オフィス、店舗などの内装工事)
- 内装工事(店舗内、オフィス内などの内装):15年(オフィスビルの場合)
- 外構設備(駐車場、歩道、庭園など)
- 外構設備:15年
- 看板・サインなど
- 看板、サイン:6年~10年(設置後の状態や材質による)
- 什器・備品(店舗内の家具や設備)
- 什器・備品:5年~10年
- ※使用される環境や耐用年数の延長の有無により異なる。
- 外壁や屋根
- 外壁、屋根(特にメンテナンスが行われている場合):20年
- 舗装・駐車場
- 舗装、駐車場:10年~15年
- 自動販売機やディスプレイ機器
- 自動販売機、ディスプレイ機器:5年~10年
- セキュリティ機器(監視カメラ、警報システム)
- セキュリティ機器:5年~10年
ファイナンス計画
15 ファイナンス計画では、自己資金あるいは資本構成となるエクイティと銀行などからの借り入れで あるデット(ローン)のバランスが重要である。ローンの種類には企業の信用力を担保にしたコーポ レートローンや物件のキャッシュフローを担保に他の物件には波及しないノンリコースローンがあ る。物件の収益性が高く、資金調達に必要な金利以上の収益性が見込めるのであれば、借入の比率を 高めて少ない自己資金で大きな事業計画が可能となる。これを 15 という。
語群 15 1.レバレッジ効果 2.イールドスプレッド 3.WACC 4.LTV 5.証券化
1.レバレッジ効果(Leverage Effect)
少ない自己資本で大きな投資を行い、利益率を高める効果。
借入金を活用して資産を増やし、自己資本利益率(ROE)を向上させる手法。うまくいけば効率的だが、リスクも高まる。
2.イールドスプレッド(Yield Spread)
異なる投資対象間の利回り差のこと。
たとえば、安全な国債とリスクのある不動産投資(REIT)との利回り差。不動産投資の収益性やリスクを測る指標として使われる。
3.WACC(加重平均資本コスト:Weighted Average Cost of Capital)
企業が資金を調達する際の平均的なコスト。
自己資本と負債の割合を加味して算出され、投資判断の基準となる。WACCより高い利回りが期待できる投資は「実行すべき」とされる。
4.LTV(ローン・トゥ・バリュー:Loan to Value)
不動産評価額に対する借入金の割合。
計算式:
LTV(%)= 借入額 ÷ 不動産の価値 × 100
例:1億円の物件に対して8,000万円の借入をすればLTVは80%。高すぎると金融機関のリスクが大きくなる。
5.証券化(Securitization)
不動産や債権などを裏付けにして証券(投資商品)として投資家に販売する仕組み。
SCなどの不動産を証券化することで、資金調達を効率化し、リスクを分散する。代表例に「J-REIT(不動産投資信託)」がある。
SC開発における事業収支の設定条件と事業性評価
【第4問】〈配点 10 点〉 (解答番号は 16 から 20 ) あるSC開発における事業収支の設定条件と事業性評価に関する下記の設問について、それぞれの語群より最 も適切なものを選びなさい。
設定条件 | 備考 | |
土地(借地) | 面積4,000坪
年額地代@100千円/年・坪 |
敷金など考慮せず |
建 物 | 工事対象面積10,000坪
貸付有効面積5,000坪 建築コスト対延床単価@600千円/坪 |
建築コストは50%を借入
(元利均等返済3%/年) とする |
租税公課/保険料 | 建築コストの0.5%/年 | |
運営コスト | 年間30,000千円(人件費など全て含む) | |
販促費 | 年間10,000千円 | 事業主負担分 |
年間売上想定 | 7,000,000千円 | |
賃料収入 | 固定賃料 @12千円/月坪
売上歩合賃料 売上の5% |
賃料形態は
固定賃料+売上歩合賃料 |
付帯収入 | 固定賃料の5% | |
共益費(BMフィー等)は実費精算とし、上記以外の収入や支出は考慮しない |
年間の収入見込み
16 年間の収入見込みを求めなさい。
語群 16 1.350 百万円 2.720 百万円 3.1,070 百万円 4.1,106 百万円 5.1,250 百万円
🧾【前提条件の整理】
項目 | 内容 |
土地 | 4,000坪(地代は収入に関係なし) |
建物延床面積 | 10,000坪 |
有効貸付面積 | 5,000坪 |
年間売上 | 7,000,000千円(=7,000百万円) |
固定賃料 | @12千円/月・坪 × 5,000坪 = 60,000千円/月 |
売上歩合賃料 | 売上の5% |
付帯収入 | 固定賃料の5% |
その他 | 共益費などは収支に含めない |
💴【年間収入の内訳】
① 固定賃料(年額)
- 12千円/月・坪 × 5,000坪 × 12か月
= 720,000千円/年
= 720百万円
② 売上歩合賃料(年額)
- 7,000,000千円 × 5%
= 350,000千円
= 350百万円
③ 付帯収入
- 固定賃料 720,000千円 × 5%
= 36,000千円
= 36百万円
🧮【合計収入】
- 固定賃料:720百万円
- 歩合賃料:350百万円
- 付帯収入:36百万円
合計:720 + 350 + 36 = 1,106百万円
✅【結論】
年間の収入見込みは
1,106 百万円(= 1,106,000千円)
👉 答え:4.1,106百万円
年間の支出見込み
17 年間の支出見込みを求めなさい。
語群 17 1.400 百万円 2.470 百万円 3.560 百万円 4.640 百万円 5.720 百万円
✅ 各費用項目(単純利息計算バージョン)
(単位:百万円)
項目 | 金額(百万円) | 備考 |
地代 | 400.0 | @100×4,000坪 |
建物借入金利息のみ | 90.0 | 3,000×3%(※元本返済なしで利息のみ) |
租税公課/保険料 | 30.0 | 建築コスト6,000×0.5% |
運営コスト | 30.0 | 年間固定費 |
販促費 | 10.0 | 年間固定費 |
合計支出 | 560.0 百万円 |
✅ 回答選択肢
語群 17
1.400 百万円
2.470 百万円
3.560 百万円
4.640 百万円
5.720 百万円
✅ 正解
3.560 百万円
👉 単純に利息のみを支出に含める方式の場合、この選択肢が最も適切です。
年間のNOI
18 年間のNOIを求めなさい。
語群 18 1.432 百万円 2.546 百万円 3.685 百万円 4.789 百万円 5.976 百万円
✅ NOIとは?
**Net Operating Income(純営業利益)**の略です。
✅ 計算式
NOI=総収入(賃料収入 + 付帯収入など)−運営費(管理費・維持費・税金・保険など)\text{NOI} = \text{総収入(賃料収入 + 付帯収入など)} – \text{運営費(管理費・維持費・税金・保険など)}NOI=総収入(賃料収入 + 付帯収入など)−運営費(管理費・維持費・税金・保険など)
※ただし、借入の返済・利息、減価償却費、法人税などは含みません。
※※SC協会の解答では単純に収入から支出を引いたものになっています。
NOIベースの単年度投資利回り
19 本事業計画のNOIベースの単年度投資利回りを求めなさい。
語群 19 1.約 6.8% 2.約 7.2% 3.約 8.3% 4.約 9.1% 5.約 10.2%
✅ 単年度投資利回りの計算式:
投資利回り(%)=NOI÷総投資額×100投資利回り(%)= NOI ÷ 総投資額 × 100投資利回り(%)=NOI÷総投資額×100
✅ 今回の前提:
- NOI:546百万円
- 総投資額:土地地代は賃貸なので除外
→ 建築コスト:10,000坪 × 600千円 = 6,000,000千円 = 6,000百万円
✅ 実際の計算:
546÷6,000×100=9.1%546 ÷ 6,000 × 100 = 9.1%546÷6,000×100=9.1%
✅ 答え:
4.約 9.1% ✅
不動産証券化スキーム
20 不動産証券化スキームとは、オリジネーター(元の所有者)から信託受益権を設定するなどして不 動産を金融商品化し、所有と経営・運営を分離して事業を行うことである。出資を募って物件を探 す運用型や特定の不動産をもとに流動化させる流動化型があるが、特別な目的をもって組成される この事業主体を総称して 20 という。
語群 20 1.SPV 2.TMK 3.GK-TK 4.MLPM 5.SPC
1.SPV(Special Purpose Vehicle)
特別目的会社。
不動産など特定の資産を保有・管理・運用するためだけに設立される会社。リスクを切り離し、証券化や投資商品化する際によく使われる。
2.TMK(特定目的会社:Tokutei Mokuteki Kaisha)
不動産証券化のために設立される会社形態の一つ。
不動産流動化法に基づいて設立され、SPVの一種。投資家に社債などを発行して資金を集め、対象不動産を取得・運用する。
3.GK-TKスキーム(合同会社-匿名組合スキーム)
小規模な不動産投資などで使われる、SPVの代表的な資金調達方法。
- GK(合同会社): 不動産を保有する会社
- TK(匿名組合): 出資者(投資家)が匿名で出資し、配当を受ける
税制や柔軟性の面でメリットがあり、実務でよく使われる。
4.MLPM(マスターレッシー・プロパティマネジメント)
一括借上型の不動産運営+管理モデル。
- マスターレッシー: 不動産を一括で借り上げて、転貸し、安定収入を確保
- プロパティマネジメント: 建物の管理・運営も兼ねる
収益の安定化や運営効率の向上を狙った仕組み。
5.SPC(Special Purpose Company)
SPV(特別目的会社)とほぼ同義。
日本語では「特別目的会社」と訳され、資産の証券化やリスク切り離しを目的に設立される法人。SPVという場合と意味はほぼ同じだが、金融や法務の文脈で使い分けることもある。
まとめ
SC経営士の試験に教科書はありません。過去問はすべての受験生が勉強していますので、落とさないようにしてください。
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